国産レモンのトップシェア、瀬戸田レモンを使った究極のぽん酢
広島といえば瀬戸内、瀬戸内といえば「レモン」。
全国的にも浸透しつつあるこのイメージですが、きっかけになったのは、2013年に広島県が取り組んだ、「おしい!広島県」の観光キャンペーン。
連日、全国ネットのテレビやラジオ、Webなど、あらゆるメディアに取り上げられたので、覚えている方も多いのではないでしょうか。牡蠣やお好み焼きなど、広島には全国に誇れる観光や産業の資源があるにもかかわらず、知名度という点であと一歩。そう、この「おしい!」状況を打開しようと展開されたキャンペーンです。
その時、「おしい!」のひとつに選ばれたのが「レモン」。
当たり前のように地元のレモンが手に入る広島県民にはピンとこないことですが、県外に行くと、広島県産はおろか、国産のレモンを目にすることさえなくなってしまいます。実際に、国内に出回っている国産レモンの割合は、全体のわずか1割とかなり希少。
そこで「おしい!」と言われる広島県ですが、国産レモンの生産量はもちろん日本一。中でも、トップのシェアと品質を誇るのが、尾道市瀬戸田町(生口島・高根島)です。
この島には至るところにレモン畑が広がり、その様子は瀬戸内を象徴する原風景だとも言われています。
さて、前置きが長くなりましたが、今回紹介する逸品は、この瀬戸田産のレモンを使った究極のぽん酢、『出汁ぽん酢』です。
作っているのは、広島県三原市の「瀬戸内かんきつ」さん。瀬戸田レモンへの情熱なら誰にも負けないという、代表の藤井祐作(ふじいゆうさく)さんにお話をお聞きしました。
ピンチをチャンスに。瀬戸田レモンで新たな「挑戦」
教えていただいた住所を片手に到着したのは、「串の家sazan」。
そうなんです。藤井さんの本業は串揚げ専門店のオーナー。週末の夜には、三原市内外からその味を求めて足を運ぶ人もいるという、人気串揚げ店を営んでいます。その藤井さんがなぜ、ぽん酢を作るようになったのでしょうか。
きっかけは、ここ数年で私たちの生活を一変させたコロナ禍だったそうです。
「店を構えてから10年が経ち、常連のお客様も増えて経営が安定した矢先に緊急事態宣言。突然、営業ができなくなって、この先どうしようかと思いました。しかも、それまで忙しかったのに、急に暇になったので時間ができて。その時に、興味本位で観たのがYouTubeだったんです。それまで全く関心もなく、軽い気持ちからだったんですが、これが面白くて、学ぶことばかりでした」
観てみると、思いがけず、その話題の豊富さに驚いたと言います。それ以後はジャンル問わず、様々な動画を観るように。
そもそも、「人生はチャレンジの連続、トライアンドエラーの繰り返し」を信念にしていた藤井さん。YouTubeに投稿されている数々のストーリーから、「挑戦する」ことの大切さを改めて認識したと言います。さらに、幼いわが子たちにも、そんな父親の姿を見せたいと強く感じたそうです。
飲食業にこだわらず、暮らしの中でもう一つの軸となり、なにより自分自身が挑戦したいと思えることはなにか?
そんなとき、ふと思い出したのが「レモン」でした。それまでも、店で、香り付けや風味のアクセントに瀬戸田レモンを使用していたこともあり、他の産地のものと比べてもその品質の良さが圧倒的だということは、充分に認識していたと言います。
「昔からお店で使うのは、瀬戸田のレモンと決めていました。これぞレモン、という味なんですが、酸味そのものがやわらかくて刺激が少ない。中には早生みかんと同じくらいの糖度が10%にもなるものもあって、酸味の後に甘味の余韻が残るんです。唯一無二のレモンだと思ってました」
香りと酸味、旨味が重なり合った究極のぽん酢
それからは、知人の伝(つて)でレモン農家を紹介してもらい、1軒ずつ訪ね歩いたという藤井さん。ですが、仕入れをお願いしたものの、最初はなかなか話がまとまらなかったそうです。
「レモンへの思いを伝えた上で、どのような手段で、どのような人に届けて行きたいのかを、時間を掛けて丁寧に説明しました。まずは私を信頼してもらって、関係を作ることからだと思ってたので、何度も足を運んで話をしましたね。そうやって、次第に受け入れていただいたんです」
そして、ようやく熱意が伝わり、遂にレモンの仕入れが実現。手始めに、果実そのものと、果汁のネット販売がスタートします。
コロナ禍で、より安全な暮らしを求める人たちが増えていたこともあり、農薬や除草剤、防腐剤やワックスなど一切使用せず、皮も含め丸ごと安心して食べられる瀬戸田のレモンは、すぐさま注目を集め、販売数も徐々に増加。レモンの収穫時期である、11月から5月頃にかけては、連日搾汁を繰り返す日々が続いたそうです。
そんな中、気になったのが、果汁を絞った後に残る「果肉」。レモンの美味しさがまだまだ残る果肉なのに、使い道がなく、やむを得ず捨ててしまっていたと言います。
「レモンの果肉で新しい商品を」藤井さんの挑戦心に火が付きます。
そこで思い浮かんだのがぽん酢。早速、果肉を使った商品作りに取り掛かります。
「ある程度、『こんな味を目指したい』というイメージはあったんです。レモンが主役なので、まずはその美味しさが前面に出るよう、果肉の量を見極める。かと言って、酸味が目立つと、食べにくいという方もいますので、出汁と調合することにしたんです。出汁の旨みと、レモンの酸味がバランスよく、まろやかな味わいのぽん酢を目指しました」
レモンの果肉に、カツオと昆布から抽出された出汁が加わり、香りと酸味、旨味がうまく重なり合った究極の『出汁ぽん酢』が、ようやく完成します。
併せて、パッケージにもこだわり、採用したのがパウチ。ネット販売が中心のため、配送料を抑えようと選んだそうですが、瓶やペットボトルのようにかさばらず、しかも破損の心配も軽減。その上、携帯しやすいので、使う場所を選びません。エコで、見た目にもシンプルなデザインに仕上がりました。
素材の美味しさが引き立つ、『出汁ぽん酢』の食し方
さて、藤井さん曰く、『出汁ぽん酢』のおすすめのいただき方は、しゃぶしゃぶと焼肉とのことで、どちらも試してみることに。
まずはしゃぶしゃぶから。
普段から、ゴマだれのような濃厚なものではなく、カボスの効いたぽん酢でいただくことが多いのですが、今回はこちらの『出汁ぽん酢』でいただきます。
お皿に注ぐと、レモンの「果肉」がふんだんに使われていることが一目瞭然。その割合は、全体の40%にもなるそうです。数字を聞くと、酸味が強いのではないかと想像してしまいますが、一口食べて驚きです。
酸味はしっかりあるのに、それが爽やかさとなって口の中に広がります。これなら、酸っぱいものが苦手な方にも受け入れられる優しい仕上がり。また、酸味の後にじんわりと感じる甘味も心地いい。そして、酸味や甘味を大きく包み込む出汁の旨みが、全体のバランスを整えています。
次は焼肉を。
年齢を重ねてくると、脂っこいものがそれほど食べられなくなり、近頃は、塩のみでいただくことが多いのですが、これも『出汁ぽん酢』で。
細かな果肉が肉によく絡み、レモンも一緒に食べている感覚です。
思っていた以上にさっぱり。なおかつ肉のジューシーさはそのままに、旨味もしっかり味わえます。肉の油もちょうど良い具合に整えられ、思わず箸が進みます。
焼肉の美味しいいただき方、発見です。
しゃぶしゃぶも焼肉も、『出汁ぽん酢』を使うことで、さっぱりといただけるのはもちろんですが、なにより、素材の美味しさが際立ちます。酸味に出汁の旨みが加わることで、全体的にまろやかになり、料理全体の味を引き立てているように感じます。
この『出汁ぽん酢』、これまで試したぽん酢の中でも、間違いなく群を抜いた逸品です。
瀬戸田レモンの美味しさを充分に理解している藤井さんだからこそ作れた、その特徴を最大限に活かした商品です。
「実は、後継者不足で、レモン栽培を続けていけるか不安を抱えている農家さんがたくさんいるんです。レモンを仕入れている私としても、これはとても気掛かりな問題。
今の私にできることは、とにかく、瀬戸田レモンの美味しさを伝え広めること。美味しいと思う人が増えれば、購入する人も増え、購入する人が増えれば、生産量を担保するために、きっと農家の担い手も増えていくと思うんです」
誰よりも藤井さん自身が、瀬戸田のファンであり、瀬戸田レモンのファン。「出会った方一人ひとりにレモンを手渡したい」そう思うほどの情熱です。
「瀬戸田レモンに関わる人を増やして、それぞれを繋いでいく。私の役割は「繋ぎ手」だと思ってるんです。そうすれば、そこには必ず共感が生まれるはずです」
これからは、さらに多くの商品を作りたいと語る藤井さん。瀬戸田レモンの美味しさを丸ごと伝えたいと、今日もアイデアをめぐらせます。
現在、『出汁ぽん酢』は通販サイト 楽天市場、店舗では広島空港そばの「空の駅オーチャード」で購入できます。
ぜひ皆さんもお試しください。
会社の紹介
瀬戸内かんきつ
住所:〒723-0051 広島県三原市宮浦4-8-13
電話番号:090-8999-6756