備後地域で愛される逸品を知る。

2022.09.29 2024/04/11

一度は食べてみたい!幻のパイ菓子【ぐぅーパイ】

手のひらサイズで食べやすい!ポロポロしないパイのお菓子

皆さんはパイのお菓子といえばなにが頭に浮かびますか?
恐らくはパイ菓子の代表といわれるアップルパイやミルフィーユを思い出されるのではないでしょうか。
何層にも重なったパイ生地が織りなす独特なサクサク感が美味しいスイーツですよね♪
しかしながらそのサクサクゆえにポロポロとこぼれ落ち、綺麗に食べにくいからと敬遠される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

広島県福山市のエルブラン松月堂さんが作る『ぐぅーパイ』は手のひらサイズで食べやすく、しかもポロポロしないのにサックサクカリカリで味も洗練されていてとっても美味しいと評判のパイ菓子です。
全盛期には1日300個以上も売れる超人気商品で、福山市民をはじめとする多くの方にとっても愛された『ぐぅーパイ』。
実はこの『ぐぅーパイ』、今はなかなかお目にかかれない“幻のお菓子”となっているんです。
なぜ幻となってしまったのか、どうしたら手に入るのかも含めてその魅力をご紹介していきます。

ぐぅーパイのパッケージ「PIE CAKE Home Made グゥ~グゥ~グゥ~」と書いてある
可愛らしい笑顔のパッケージの『ぐぅーパイ』
普通のパイ菓子と何が違うのでしょうか…?

繊細な技術と丁寧な仕事!広島洋菓子界の先駆者が生み出すスイーツたち

エルブラン松月堂さんは福山市松永町で104年前に創業されました。
松永町は福山市の最西端に位置し、塩田、下駄、畳表の町として栄えた場所です。中でも「松永下駄」は、安価な大衆の下駄として全国に広がり、1955年頃のピーク時には年間5,600万足の生産量を誇っていました。
そんな松永町を代表する銘菓「げた踊り」をはじめとする様々なお菓子を100年に渡って作り続けてきたのがエルブラン松月堂さんです。

備後松永銘菓「げた踊り」
備後松永銘菓「げた踊り」
地域と共に歴史を歩んできました

現代表であるパティシエの村上さんは東京の有名パティスリーに就職、努力と持ち合わせた才覚によりメキメキと実力を付け、28歳の時に実家であるエルブラン松月堂さんに戻られました。
第21回全国菓子大博覧会では繊細な工芸菓子を出品され、見事「菊花工芸賞」を受賞。その後も数々の賞を受賞し、広島県洋菓子協会の副会長やスイーツコンテストの審査員、製菓専門学校の講師なども務めた、まさに広島洋菓子界の先駆者であられます。

菊花工芸賞の盾「菊花工芸賞 第21回全国菓子大博覧会 松江菓子博'89」と書いてある
福山の古刹、明王院の五重塔を工芸菓子で表現
見事に菊花工芸賞を受賞!

繊細な技術と仕事の丁寧さ、安定の美味しさが人を呼び、お店は日々繁盛!
エルブラン松月堂さんは「目の届く範囲でお客様によりお買い求めいただきやすいように」と、松永町に3店舗を構え、地域に根付いたお菓子屋さんとしてなくてはならない存在でした。

しかし時代の流れとともに長年支えてきたベテランスタッフたちが引退していき次第に規模を縮小。村上さんの跡を継ぎたいといってくれる後輩パティシエさんもいらっしゃいましたがそれをお断りし、現在は店舗をすべて閉め、村上さん一人でできる範囲のお菓子作りをされていらっしゃいます。

とはいってもこの村上さん、広島のスイーツ界のトップを走ってきただけあって、現在のお仕事もとってもすごいんですよ!!
広島県の方はもちろん、全国的にも有名なリゾートホテルのスイーツを一手に担われているんです!
実際にそこで振舞われたケーキの写真を何点か拝見させていただいたのですが、繊細さ・上品さ・大胆さどれをとっても素晴らしく、製作時の裏話もいろいろお聞きすることができスイーツ好きの私は大興奮の連続でした(笑)

村上さんがインタビューを受ける様子
村上さんが作るスイーツは、広島を訪れる人を幸せにしています

また、今回ご紹介する『ぐぅーパイ』もお店を閉めた今でもその人気から大手百貨店や大手企業さんから何百個という単位で注文が入ることもあるそうです。
とはいえ一人でできる範囲も限られているためお断りすることが多いという、まさに願っても手に入らない“幻のお菓子”なんですよ!

パイのお菓子「ぐぅーパイ」のこだわりはフレッシュバター!

そんな“すごい人”が作る、大手バイヤーさんたちも惚れに惚れこんでいる『ぐぅーパイ』が一体どんなものなのか気になりますよね!

『ぐぅーパイ』は約30年前に村上さんが考案されたパイ菓子です。
当時お店で人気だったアップルパイを作る時にでるパイ生地をさらに有効活用できるように考えられて作られたのがこの『ぐぅーパイ』でした。
おなかが空いた「ぐぅ」と、美味しくって「Good」をかけて名付けられたそうです。

この『ぐぅーパイ』の特徴は、パイ生地・アーモンド生地・クリームの三層構造であること!
中でも一番のこだわりはパイ生地に「フレッシュバター」を使われているそうです。
パイ生地には練り込みやすいパイ用のマーガリンを使われるお菓子屋さんが多いそうなのですが、味にこだわる村上さんはフレッシュバター一筋!
しかもこのバターも普通のものとはちょっと違う水分量の少ない高級なものを使われているのだとか。
低水分のバターは通常の物と比べて伸びもよく、スッキリしつつも濃厚で、よりしっかりとしたバターの風味が楽しめる代物なんですよ。

ぐぅーパイの断面
美味しさの秘密は3つの層の組み合わせ!

そして今回一つだけ企業秘密を教えていただきました!
それはアーモンド生地に使われる「アーモンドプードル」。既製品を使用しているのではなく、こだわりの産地のアーモンドをこだわった特別な挽き方で粉末にしてもらっているそうで、エルブラン松月堂さんの特注のものなんだそうです。

他にも特別な製法や、特別な包み方など、村上さんにしか作れない企業秘密なところがたくさんあるとのことでした。

福山に来てでも食べる価値アリ!幻のパイ菓子「ぐぅーパイ」

村上さんのこだわりが詰まった『ぐぅーパイ』、食べてみたくなりましたよね♡
しかしながらこの『ぐぅーパイ』、店舗を閉めた今では限られたお店に週1回、しかも数量限定で卸しているだけなので、実は皆さんのお手元に届くには至難の業なんです(涙)

それでも紹介しているのは、この美味しさを知っていただき食べに来てもらいたいから!
幻のお菓子『ぐぅーパイ』がどれだけ美味しいのか紹介していきますね♪

『ぐぅーパイ』が包まれているパッケージはシュークリームなどでよく見かける半袋状の物です。これは食べた時にポロポロこぼれ落ちやすいパイ生地を受け止めてくれるので汚れず食べていただけるとのことでした。

袋から出したぐぅーパイを手で持っている様子
さっそく頂きます!

では大きな口で一口!
噛んだ瞬間聞こえてくる「サクサクサクッ」という音!
これまで食べたお土産系のパイ菓子の中で、断とつトップでサックサクです!

このサクサクの秘密は手作業による折りパイだからこそなせる業。
バターが練り込まれたパイ生地とは違い、何層にも何層にも折り重ねられたパイのため出る食感なんです。
そしてさらにサクサク感をプラスしているのがパイの上部に掛けられた粉糖!
通常卵を塗って出すツヤをエルブラン松月堂さんでは粉糖を使って艶出しされています。焼く前に振りかけられた粉糖はパイ生地の上でキャラメリゼされたようになりツヤツヤパリパリに♪
そして粉糖が溶けて固まった底部分はカリカリになっているんです!
しかもこれだけサクサクなのにまとまりが良くて、ボロボロにならないから本当に不思議!

ぐぅーパイを真上から撮った写真
この艶がたまらなく食欲をそそります♪

『ぐぅーパイ』の素晴らしいところは味も逸品なこと!
甘さ控えめでありながら濃厚なカスタード、ほわっと香りしっとり滑らかなアーモンド生地、ところどころ感じる粉糖の甘さ、そこに先ほどのカリカリサクサクっとしたバターの香り豊かなパイ生地。
どこをかじっても美味しくて食べる勢いが止まらずあっという間に2つ完食しまいました(笑)
この美味しさ、店舗を閉じられてもいまだにたくさんのお店から大量注文が来るのがよくわかります。

現在、『ぐぅーパイ』は注文販売等一切なく、下記3店舗で週一回のみ限定販売されています。

・やまさきショップ本店、神島店(月曜日)
・天満屋福山店(木曜日)

お店に並べられている沢山のぐぅーパイ
ぜひ手に取ってみてくださいね!
曜日をお間違えなく!

村上さんの折りパイの業によるサクサクと粉糖によるパリパリカリカリ、それを凌駕する味の美味しさは本当に広島県福山市まで来て味わってもらいたいです。
食べてみたい!と思った方はぜひ福山まで遊びに来てくださいね♪
その価値あり!!ですよ♪

会社名

エルブラン松月堂
住所:〒729-0104 広島県福山市松永町2丁目8-17