
【因島のはっさくゼリー】ほろ苦い美味しさ!はっさくの実入り
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広島県尾道市と愛媛県今治市とを結ぶ「しまなみ海道」。
その全長約60kmの間には、穏やかな瀬戸内海とそこに点在する島々をつなぐ10本の橋が連なり、2006年の開通以来、その絶景から多くの観光客を魅了しています。
特に、サイクリストからは「聖地」と称され、国内外から訪れる年間30万人以上がサイクリングを楽しんでいます。
そのサイクリストの間で「手軽にエネルギーチャージができる」と、近頃人気上昇中のお菓子が、尾道市で和菓子の製造業を営む「株式会社山本屋」が開発した『あんこBAR』です。
7年以上にも及ぶ構想期間を経て、地元備後地区のプロサイクリングチーム「eNShare CyclingTeam(エンシェアサイクリングチーム)」監修のもと開発した『あんこBAR』は、40gというコンパクトなサイズにもかかわらず117kcalを摂取できる優れもののようかん。
糖質には、持続性の高いエネルギー源としてアスリートからの注目を集めている「トレハロース」を使用し、さらに、疲労回復に効果がある瀬戸内産のレモン果汁も含まれています。今までにはなかった酸味爽やかなレモンようかん『あんこBAR』は、サイクリング途中の小休憩にぴったりと、リピーター続出の逸品です。
お話を伺ったのは、山本屋の3代目社長、山本 浩矢(やまもと ひろや)さん。『あんこBAR』の開発秘話や、アスリートも納得の素材へのこだわりなど、詳しくご紹介します。
山本屋は、創業1963年の和菓子製造の老舗。「餅屋」として山本社長の祖父が立ち上げ、以来卸業を中心に事業を広げてきました。
創業当初は家族のみで餅作りを行い、商品をリヤカーに乗せ市場などを巡っていたそう。その後、父の代になると大量生産を視野に入れて最新の製造機械や冷凍設備などを導入し、少しずつ規模を拡大していったと言います。幼い頃よりその様子を間近に見ていた山本社長はこう話します。
「3代目として家業を継ぐ、ということはずっと意識していましたね。県外の大学に進学し一旦は家具の量販店に就職しましたが、27歳のときに尾道に戻り、山本屋の一員として再出発しました」
その頃から山本社長が意識していたのは、会社としての組織づくり。
事業規模をさらに大きくするため、部門の細分化による組織の整備を進めるとともに、5年後10年後を見越した新卒採用も開始します。さらに、会社の方向性を明らかにするため経営理念も掲げ、100年企業をめざして、これまで社員とともに歩んできたと話します。
「社長に就任した2008年には、海外販売にも乗り出しました。懇意にしていた社長仲間から声を掛けいただき、タイやシンガポール、台湾などの百貨店で、わらび餅や大福などを販売したんです。すると、現地在住の日本人の間で『懐かしい』と評判になり、山本屋としての新たな販路を得ることができました。今では、ヨーロッパやアメリカなど12カ国で販売するご縁も広がり、和食ブームも追い風となって、徐々に海外の方にも楽しんでいただけるようになりました」
その山本屋が2024年4月に発売を開始したのが『あんこBAR』。
これまで手掛けてきたパック入りの和菓子とは違い、スマートなパウチパックで個包装された『あんこBAR』は、山本社長の郷土愛がカタチとなった山本屋にとっての新たな看板商品です。
「長年、ここ尾道に拠点を構え、地元の方に支えていただきながら和菓子づくり一筋で商いを行ってきましたので、今後は地元の方に何かしら恩返しというか、貢献できることにも挑戦したいと思っていたんです。そこで思いついたのが、しまなみ海道を走るサイクリストをターゲットにした商品開発でした。以前から、サイクリストがエネルギー補給にようかんをよく食べていると耳にしていましたので、山本屋らしさを加えた新しい商品を作ってみようと動き始めました」
コンセプトとしてもっともこだわったのは、「おいしくチャージ」できること。
数あるエネルギー補給食品のなかには、おいしさが二の次になっている商品もありますが、そこは、祖父の代から培ってきた和菓子屋としてのプライドが許さなかったと言います。
以降、商品化に向け、素材や形状、製造工程でのパックへの充填ノウハウなど、さまざまな課題と向き合った山本屋。その過程で備後地区のプロサイクリングチーム「eNShare CyclingTeam」と出会ったことが、商品の形を一気に具体化するきっかけになったそうです。
「効率良くカロリーを摂取できる糖質に何を使用するか悩んでいたのですが、『eNShare CyclingTeam』からのアドバイスで『トレハロース』を採用することにしました。トレハロースは、自然界に存在する糖質で、すっきりとした甘みがありながらも確実にカロリーを摂取できる安全な素材です。併せて、アスリート向けの食材によく使用されている糖質『マルチデキストリン』も加えています」
さらに、尾道らしさを表現する素材として採用したのが、瀬戸内で栽培されたレモンの果汁。ご当地ならではの商品として欠かせないレモンは、疲労回復に役立つクエン酸を豊富に含むうえ、甘さを押さえさっぱりとした印象も与えます。
「ここが、他のようかんとの大きな違いですね。脂質が少なく糖質が多いあんこにはパフォーマンス力を高める効果がありますが、そこにレモンの酸味をプラスすることで、甘さだけに偏りがちがようかんの風味に爽やかさが生まれるんです」
他にも、サイクリストが携帯しやすいコンパクトなサイズ感や、片手でワンプッシュするだけで食べられる形状、固さなど、『あんこBAR』のこだわりは細部に及びます。
そうした工夫を見極めるうえで欠かせなかったのが、やはり「eNShare Cycling Team」に所属するプロサイクリストたちの声だったそう。実際に繰り返し試食してもらい、その感想をもとに改良を重ねた結果、ようやく『あんこBAR』が完成します。
「商品完成の決め手となったのは、『eNShare CyclingTeam』のプロサイクリスト、宮口直之さんからの評価でした。『美味しくて食べやすい。しかも、食べ慣れ親しんだあんこの味に、レモンの酸味も加わりエネルギー補給と疲労回復が同時にでき、トレーニングやレースの後半でラストスパートをかけやすく感じた』と言っていただき、ようやく山本屋らしい商品を作れたと嬉しかったですね」
プロ監修のもとで完成した『あんこBAR』は現在、サイクリストのみならず、トレイルランニングやマラソン、登山やゴルフを楽しむ方たちの間にも広がっており、「さっぱりとしていておいしい」、「レモンの酸味がようかんのイメージをガラッと変えてくれる」と好評なんだそうです。
アスリートに人気の『あんこBAR』ですが、仕事合間のエネルギーチャージや、ダイエット中の糖分補給にもピッタリの一品。そこで私も、パソコン作業の小休憩に『あんこBAR』をいただいてみることにします。
まずパッケージを手に取って目を惹くのが、そのデザインのエモかわいさ。
『あんこBAR』を頬張りながら自転車で疾走する猫のイラストと、和風テイストの書体で書かれた商品名とのギャップが、尾道ならではのエモさを感じさせます。さらに、「レモンようかん」の文字が未知の味への期待度をアップさせてくれます。
では、パック上部をカットし、ワンハンドで押し出して一口。
程よい固さの食感、それと同時に感じるのは、レモンのさっぱりとした酸味です。ここまで爽やかだとは正直、驚きです。口の中に甘さは広がりますが、酸味がそれを包み込み、後に残るのはレモンの風味。初めての味わいに衝撃を受けながらも、そのおいしさについ食べ進んでしまいます。しかも、噛むほどにその食感が心地良い!
ようかんなのに、レモンの酸味のおかげか、硬めのゼリーのようにも感じます。
まさに、「おいしくチャージ」できる『あんこBAR』。口の中のさっぱり感はもちろん、頭もスッキリし、普段の生活で疲れを感じたときにもおすすめだと実感できる逸品です。
尾道のお土産店や道の駅などには、この『あんこBAR』がレジ横に置かれていて、そのコンパクトなサイズと200円(税込)というお手頃価格から、尾道のお土産物として観光客にも喜ばれています。
また、しまなみ海道が描かれた箱入り(10個入)も販売しており、職場やご近所さんなどばらまき用のお土産として重宝すると好評なんだとか。
「発売以来、リピーターを含め口コミで広がっている『あんこBAR』ですが、スポーツに欠かせないエネルギー補給アイテムとして定着することを願っています。しまなみ海道から世界中のアスリートの手に渡り、いずれはツール・ド・フランスにも。それが私の夢です」と、山本社長は笑顔で語ります。
しまなみ海道のサイクリングイベント、「サイクリングしまなみ」や「グラン・ツール・せとうち」でも補給食として提供されている『あんこBAR』ですが、世界のサイクリングイベントで目にする日もそう遠くないかもしれません。
さて、和菓子製造で100年企業をめざす山本屋は、「尾道の菓子文化を発展させたい」との思いから、尾道本通り商店街側で実店舗営業も行っています。その店「山本の餅屋」では、店舗併設の工房で手作りされるおはぎや季節の和菓子などをラインナップ。土・日・祝日の営業日には、観光客をはじめ多くのお客様が足を運びます。
「餅米や小豆、きなこなど、素材本来のおいしさを味わっていただきたいと思い、実店舗を構えました。もちろん、素材は尾道や近隣の世羅町産のものを中心に厳選しています。賞味期限は当日のみですが、できたてのおいしさをぜひ味わっていただきたいですね」
今後もさらに、地元産の素材を使った和菓子店を展開していきたい、と語る山本社長。その構想は、日々大きくふくらみ続けています。
現在『あんこBAR』は、「山本の餅屋」をはじめ以下の店舗などで販売中です。レジ横においてあることが多いので、ぜひチェックしてみてください。