年間150万個を販売!虎屋本舗のどら焼き「虎焼」
「なじみマガジンONOMICHI」ではこれまで饅頭、大福、ケーキ、せんべいなど数多くの備後のお菓子を紹介してきました。そんな中で今回は和菓子の中でも根強い人気を誇る「どら焼き」をご紹介します。
どら焼きという名前は、その形が打楽器の銅鑼(どら)に似ているところから付けられたと言われています。
甘く“ふわっ”とした生地に“ほくほく”の粒餡が主流のどら焼き。最近ではクリームが入ったものや、変わり種の餡が入っているものも多く見かけます。
一般的にどら焼きと言えばきれいな焼き色のついたものを想像する方が多いと思います。
しかし今回ご紹介する虎屋本舗さんの『虎焼』は、虎のような模様が入っている珍しいどら焼きなんです。
年間150万個を販売、どら焼きの名店として知られる虎屋本舗『虎焼(とらやき)』の人気の理由と美味しさの秘密に迫ります!
創業400年!270年以上愛されつづける名店のどら焼き
虎屋本舗の初代当主は元々兵庫で「高田屋」の名で、廻船問屋を営んでいました。
元和4年(1618年)頃、京都伏見城にあった伏見櫓を初代福山藩主 水野勝成の命を受け、福山に運んできました(この伏見櫓は現存、国重要文化財に指定されています)。
これを運んだ褒美として福山に土地を拝領、その後は福山に移り住み菓子匠(かししょう)を開業します。
饅頭の美味しさが評価され、福山藩御用菓子司として福山を代表する菓子匠として営まれてきました。
時は流れ、1750年に八代目当主が虎模様の『虎焼』を考案。
開運招福を授ける守護神として縁起が良く庶民に慕われていた虎にあやかり屋号も虎屋へと変え、虎屋の『虎焼』がここに完成しました。
今日紹介するこの『虎焼』はなんと270年以上もの歴史を持つ名店のどら焼きなんです!
その後太平洋戦争で工場が焼け、台帳も焼けてしまい苦境に陥りながらも努力を怠らず、見事復活を遂げた虎屋本舗さんは創業から400年という長い年月、福山に根付きお菓子で多くの人を笑顔にされてきたのです。
そんな虎屋本舗さんは「子どもたちに喜んでもらえるお菓子作り」を大切にされているのですが、子どもたちの笑顔のために始めた和菓子教室や、違う食べ物に似せたそっくりスイーツが話題を呼んだこともあり、今では昔から愛用されている年配の方はもちろん、若い世代の方や子どもたちなど全世代に愛されているお菓子屋さんなんですよ♪
お取り寄せしてでも食べたい「虎焼」!美味しさの理由とこだわり
『虎焼』の特徴はなんと言ってもその柄。
全国的にも珍しいこの柄は、焼くときに鉄板の上に直接生地を流すのではなく、一枚の紙を敷き生地を流して作られます。そうすることで紙のシワによってあの独特な虎柄ができあがるのだそうです。
その製法は昔からずっと変わらないのだとか!
普通にどら焼きを作るよりも手間もコストもかかるこの方法。それでも虎屋本舗さんはどんな苦境の時でも虎への想いを大切に、270年間作り方を変えることなく名店の味を守り続けられています。
素材にこだわった生地の特徴は、毎日出荷される新鮮な広島県産鶏卵とはちみつの女王という異名を持つ「アカシア蜂蜜」を贅沢に使用されていて、コク深く口当たりのいいカステラ生地になっているんですよ。
次にどら焼きの核である餡子(あんこ)、この餡子にも並々ならぬこだわりがあります。
まず小豆はこの道30年のベテラン工場長が長年のカンと知識で選定した北海道産小豆を使用!
それを炊き続けて熟練の職人が丁寧に美味しい餡子に仕上げていきます。
この製餡担当の職人さん、以前は東京でコーヒー店のマスターをしていたそうで、とことん突き詰めるこだわりのあるタイプ!
そのため餡子に関しても一つ一つの工程を季節や天候にあわせてきっちりと突き詰め、今最高に美味しい状態を見極めながら日々餡子を作り出しているんだそうです。
年間150万個、一日8,000個以上の『虎焼』を作るため一日500~600㎏の豆を炊くなかで「季節の変わり目が一番難しいですね」と餡を見つめるその姿はまさに孤高の職人そのものでした。
工場を見学させていただいて、もう一つすごいなと感じたのが目視によるチェックの回数。
『虎焼』ができて、包装され、箱に移し、梱包され、店頭に並ぶまでの少なくても5回以上の工程で一つ一つ丁寧に状態をチェックされていたんです。数多く作っているにも関わらず、流れ作業でただ詰めていくのではなく、何回もたくさんの人の目できちんと確認をされているのにはいち消費者としてとても安心を感じました。
どら焼きのお取り寄せで度々メディアでも紹介される『虎焼』、取り寄せてでも食べたい人が多いのもうなずけます。
全国のどら焼きファンを魅了!“ふわふわ”生地と上品な餡子
実は私、その存在は知っていたものの、虎屋さんの『虎焼』を今回初めて頂いたんです。
そこで驚いたのがカステラ生地の“ふわふわ”さ!
まるでスポンジケーキのような、もしかしたらそれよりも“ふわふわ”かも!?と思うぐらい“ふわふわ”です。
それでいてしっとりとしているので口当たりがよく、生地だけで食べてみるとまさに溶けていくような食感に驚きました。
このふんわりしたやわらかい生地も虎屋さんの『虎焼』ならではなんだそうです。
その秘密は虎柄を出すために敷く紙!
鉄板に直接生地を流さず、一枚紙を隔てて焼いていることで直接火が入らないため熱を通しすぎず“ふわふわ”に仕上がるのだとか。
さらには焼きたての『虎焼』を最後は人の手で優しくふんわりと整えることで“ふわふわ”が損なわれないそうですよ。
この食感は洋菓子好きの方もとっても好きだと思います。
つづいて生地からはみ出んばかりに包まれた餡子は甘すぎず、あずきの味がしっかりとわかる上品な味わいです。ほろほろと崩れて溶けるカステラ生地と、ところどころ感じる小豆の粒が口の中で合わさりながら、現代の人の好みな優しい甘さが全国のファンの心をつかんで離さないのがよくわかる美味しさでした。
この『虎焼』はぜひ普段どら焼きなど和菓子をあまり食べない方や、洋菓子を選んでしまいがちな若者にもぜひ食べてもらいたいです!
きっと「どら焼きってこんなに美味しかったんだ」と再認識してもらえると思いますよ♡
現在、『虎焼』は通販サイト Amazon、楽天市場、あみゃーもんの他、公式ホームページ、広島県内にある10店の虎屋本舗直営店、東京銀座にある「ひろしまブランドショップ TAU」で購入できます。
遠方の方はぜひお取り寄せで、その“ふわふわ”食感を味わってみてくださいね。