備後地域で愛される逸品を知る。

2024.06.26 2024/06/27

【デニムのバブーシュ】オシャレで機能的!履き心地も抜群

瀬戸内デニムが手掛けるオシャレな「バブーシュ」

広島県福山市は、高級デニムの生産日本一の街。
デニムとは、みなさんもおそらく一本は所有されているジーンズなどに使われる生地のことで、全国シェアの約8割を占めます。

今回「なじみマガジン ONOMICHI」で紹介するのは、デニムを使った室内履きの『バブーシュ』。
足にフィットするフラットな形状、かかとを踏んでラフに履ける特徴を持つ『バブーシュ』ですが、若い世代はもちろん70代後半に差し掛かった私の父も愛用していることから、以前から気になっていました。

デニムの街、福山でデニムを使ったオシャレな『バブーシュ』を手掛けている会社があると聞いて、早速取材に出かけてきました。その会社は、オーダーカーテンの縫製・取付までを一貫して行う「株式会社いけだ」が新たに立ち上げたブランド「瀬戸内デニム」です。

デニムを使った『バブーシュ』の写真
瀬戸内デニムが手掛けるデニムの「バブーシュ」

2018年7月3日、「波の日」に始動した「瀬戸内デニム」。
デニムのカーテンを中心に、クッションやフロアマットなどのインテリア雑貨、また、ランチョンマット、エプロンなどの生活雑貨もプロデュースしています。

訪れたのは、福山市御幸町にある「カーテン&インテリア サラ福山御幸店」。店内には色とりどりのカーテンが整然と並び、暮らしを彩る生活雑貨が目を楽しませてくれます。
まずは代表の池田 好美(いけだ よしみ)さんに、デニムで作るカーテンのお話から伺いました。

カーテン&インテリア サラ福山御幸店の外観写真
お店にやってきました!
店内に様々なデニム商品が展示されている様子
店内には様々なデニムの生活雑貨が展示してあります

瀬戸内の温暖な雰囲気が感じられるデニムのカーテン

「最初にデニムでカーテンを作ったのは、お客様からのご依頼がきっかけでした。
ただ、カーテンとなると、実際に完成するまでの過程で、デニムが持つ特性のため20〜30cmも生地が伸び縮みしたり、触ると染料であるインディゴの色が手についてしまったりと、製品としては安定しないものだったんです。私としても、これまでの経験の中でもっとも難しかったカーテンと言っていいほどでしたね」

インタビューに答える代表の池田好美さん
代表の池田 好美さん

長年プロとして製造に関わってきた池田さんですら、デニムのカーテンの商品化はハードルが高いと感じた経験だったそうです。
とはいえ、それから数年が経ち、「瀬戸内デニム」としてカーテン製造を再開。それにはどんな背景があったのでしょうか。

もともと、「カーテン&インテリア サラ福山御幸店」をオープンしたのは、直接お客様と接する機会を設けたかったから。
お客様の自宅の様子や好みを聞き、作り手の立場から、それにマッチするカーテンを提案したいという思いがあったからでした。当時は、製造元直営の店としてかなり珍しい存在だったそうですが、時代と共にインテリア商品を取り扱う量販店が勢いを増し、オーダーカーテンの受注そのものが右肩下がりになっていったと言います。

「会社としての独自性を打ち出す時期だったんです。そこで思い至ったのが、ここ福山でしか作れない、言い換えれば、福山だからこそ作れる唯一無二のカーテン。思い浮かんだ素材は、やはりデニムでした」

池田さんは、一度挫折したその生地を再び手に取ります。
そして、福山の生地メーカーを巡り、ようやく見つけたカーテンに適したデニム。遂に「瀬戸内デニム」が動き出します。

瀬戸内デニムのロゴ
瀬戸内デニム始動!
ロゴには針と糸、波のモチーフがデザインされています

「このデニムは一般のものよりも軽量で、糸を斜めに織っていく綾織で作られているので、カーテンに欠かせないきれいなひだが表現できるんです。反応染料で糸の中までしっかりと藍色に染めていますので、課題だった色移りもありません。何度も試作を繰り返し、ウォッシュ加工を施したことで、しっとりとした感触も実現できました。毎日開け閉めするカーテンだからこそ、何度でも触れたくなるものに仕上げたかったんです」

「瀬戸内デニム」の名前で発表されたカーテンは、当初からその美しさに高い評価を得ます。中でも自ら「デニム好き」を名乗る方々からは、「次第に色合いが変化していき、それが味わいになる」と経年変化を楽しむ声や、「このカーテンが似合うように家を改装したい」との声も聞かれたとか。

「特に、関東より北の地域にお住まいの方に人気です。カーテンを通して、瀬戸内海の温暖でのんびりとした雰囲気を味わいたいと思っておられるようですね。遠くに旅立った『瀬戸内デニム』をかわいがっていただいているようで、私も嬉しいです。
一般的なカーテンは、窓辺にかけたその日を100点とすると、そこから少しずつ評価が下がっていきますが、このカーテンは日を重ねるごとに風合いが増し、新しい価値を生み出しているようです」

SDGsに貢献!ライフスタイルを彩る「バブーシュ」

『瀬戸内デニム』が順調に受け入れられると同時に、池田さんはもう一つの想いを抱くようになったと言います。

「このカーテンの寿命は少なく見積もっても10年。ということは、次にお客様のお顔を拝見するのはかなり先になります。ですが、私としては、その間も皆さんとの繋がりを持ちたかったんです。そこで、『お客様の架け橋になる商品』として、カーテンを製造する際の端材を利用したインテリア雑貨なども作ることにしました

SDGsの観点からも、生地を有効利用できる商品作り。ライフスタイル全体をデニムで彩りたいとプロデュースされたのが、今回紹介する『バブーシュ』です。

床に4足並べられたバブーシュ
デニムの質感がオシャレで履きやすそう♪

ここ数年、そのデザイン性の高さと履きやすさで注目度が増し続けている『バブーシュ』。
アフリカ、モロッコの伝統的な履き物ですが、日本では室内履きとして愛用している方も多いようです。それをデニムで再現。カーテンで証明されたクオリティの高い生地で作られた『バブーシュ』は、家族用に、またプレゼントとしても購入されているそうです。

縫製を任されているのは、徳島県の老舗スリッパ工場。
熟練の女性スタッフを中心に、断裁以外は全て手作業で仕上げられます。専用のミシンで一目ずつ丁寧に縫製され、裏地には滑りにくい加工も。

またセンターには手の込んだ真田紐があしらわれ、魅力をプラスするアクセントになっています。
この真田紐、戦国武将である真田 昌幸と信繁(幸村)親子が考案したとされる組紐で、縦糸と横糸がきっちり折り重なって織られています。刀でさえ切ることができなかったと言われ、最大の特徴はその丈夫さ。

4色の真田紐の写真
真田紐の美しい織り目がバブーシュに合っています

「この真田紐も、地元で100年以上続く会社が作っているものなんです。レッド、イエロー、グリーン、ブルーの4色があり、中でもレッドが人気ですね。福山の会社同士がコラボレーションして素敵な商品ができました」

SDGsへの取り組みはもちろん、デザイン性と機能性も持ち合わせる秀逸な『バブーシュ』なんです。

年齢問わず支持される、履き心地の良い「バブーシュ」

『バブーシュ』と聞くと、どちらかといえば若い世代に人気が高いと思われがちですが、冒頭でもお話したように70代後半に差し掛かった私の父も愛用しています。

理由はその脱ぎ履きのしやすさと、歩きやすさ。

スリッパは室内履きとしてよく利用されますが、高齢になると足を上げにくくなるという理由から、履き口のわずかな高さもデメリットに感じられるようです。そのほんの少しの高さに躓(つまず)いてしまうということも耳にします。
ですが、バブーシュはもともと踵(かかと)の部分が折りたたまれているので、スムーズに足を入れることが可能。また、一般的なスリッパよりも足先の幅が広く作られているので、履き心地の良さも愛用するポイントになっています。

バブーシュを履いている人の足元
オシャレなだけじゃない!
機能性もばっちりです

実際に、このバブーシュを父に試してもらうと、その履きやすさにとても驚いた様子。
歩いてみると、裏面に施されたスエード調の生地が程よい滑り止めになっていて、歩く、止まるの足運びが楽にできるようです。
さらに、素足で履くと、デニム生地のさらっとした感触が心地良いようで、試すほどにその風合いが肌に馴染んでくるとか。歩くうちに、すっかりお気に入りのアイテムになりました。

私も試してみましたが、その抜群の履き心地を実感。
足を踏み出すたびにしなやかにフィットするのは、天然素材のデニム生地で作られているからこそです。手洗いも可能なので、大切に手入れすれば数年単位で履くこともできます
そしてなによりオシャレなデザインが素敵。ライフスタイル全体をデニムで彩るという池田さんの想いが足元から感じられます。

サイズは23〜26cmの男女兼用。しかも、年齢問わずに履くことができるこの『バブーシュ』は、使えば使うほどに愛着が湧く逸品です。

バブーシュを履いて歩きだそうとしている足元
大切に履いてあげれば自分だけの風合いが出てきます

「『瀬戸内デニム』の良さがこの『バブーシュ』から伝わればと思っています。そして人から人へと、愛用してくださる方が増えれば嬉しいですね。デニムの産地、福山だからこそお届けできるこの『バブーシュ』やカーテン。瀬戸内の海を越えて、いつか世界にも羽ばたけばと思っています」

現在、デニムを使った『バブーシュ』は公式ホームページ、「カーテン&インテリア サラ福山御幸店」の他、以下の店舗で販売しています。

  • 広島県:安芸グランドホテル(廿日市市)、mihara village(三原市)
  • 東京都:ひろしまブランドショップTAU
  • 全国約150店舗の「瀬戸内デニム」取扱店の一部

会社の紹介

瀬戸内デニム株式会社
住所:〒721-0942 広島県福山市引野町1-6-9 イケダビル3F
電話番号:084-955-0573

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