備後地域で愛される逸品を知る。

2024.02.29 2024/07/05

【スマックゴールド】懐かしい味わい!三原のご当地ドリンク

広島県三原市のご当地ドリンク「スマックゴールド」

大阪のミックスジュースや北海道のガラナなど、「ご当地ドリンク」と言われるものは数ありますが、広島県三原市のご当地ドリンクといえば、『スマックゴールド』

今回お伺いしたのは、三原市では知らない人がいない飲料品製造の老舗、桜南食品株式会社。
「私の体は『スマックゴールド』でできていると言っても過言ではありません」と笑うのは、3代目を継ぐ安井 健(やすい たけし)社長です。
柔らかなミルクの甘さと炭酸があいまった優しい味わいのこの飲み物は、50年以上にわたり地元で愛され続けています。

インタビューに答える3代目社長
社長自身も『スマックゴールド』を飲んで育ったのですね

昭和30年の創業以来、「ラムネ」に始まり「ひやしあめ」や粉末飲料の「あめゆ」「しょうが湯」など、数多くの商品を開発販売している桜南食品。
今回は、三原市民のソウルドリンクである『スマックゴールド』の誕生と美味しさのひみつについて安井社長にインタビューしてきました。

クリームソーダスマックGゴールド
ラベルに懐かしさを感じさせる『スマックゴールド』

愛される理由の一つには、現社長のお父様が発売当初から熱心に市内の映画館や市民プール、運動会のバザーなど市民が集まる場所で販売したことが大きかったそうです。
三原に住んで30年ほどになる私ですが、三原市民にとって当たり前にある飲料だけにその誕生のきっかけなど改めて知ることがたくさん。

また三原以外にお住まいの方の中にも『スマックゴールド』、懐かしく思われる方もいらっしゃると思います。その理由もご紹介していきます。

国民的ドリンクとして開発された「スマックゴールド」

桜南食品が創業した昭和30年は、戦争が終わり日本が高度経済成長に差し掛かった時期。
ようやく市民の生活も安定し始め、「娯楽」への関心も徐々に高まりつつあった当時、その流れをいち早く掴んだ安井社長のお祖父様は、それまで営んでいた問屋業から、いち早く清涼飲料水の製造販売を始めます。

桜南食品株式会社の外観写真
大きな方向転換を行った桜南食品さん

家内工業として創業し、まず販売したのが「ラムネ」。ビー玉の入った瓶にラムネを充填、1本1本、証紙で蓋をしたラムネは、学校の売店や映画館、造船工場などに卸されていたそうです。また、同時に人気を集めていたのが粉末飲料の「あめゆ」。ゆっくり炊き上げられ固まったあめゆを粉砕し、一つずつ丁寧に箱詰めされた商品は、贈り物としても重宝されていたとか。

戦後から10年、ほんの少しだけ贅沢ができるようになった市民にとって、桜南食品の「ラムネ」と「あめゆ」は、暮らしと心に潤いをもたらす飲み物だったようです。

ラムネの瓶が並んだ写真
昭和生まれの方には懐かしいラムネ
夏の風物詩としてすっかり定着しました

その後も、安井社長のお父様である2代目が試行錯誤の上に作り上げたワンカップ入りの「ひやしあめ」など、ヒット商品を生み出した桜南食品ですが、徐々にその状況は変化していきます。

「1970年代に入り、外国資本の大手飲料品メーカーのシェアが大きくなってきました。当社も含め、全国各地でラムネやオリジナルの飲み物を作っていた製造会社は、売上が減少する一方だったようです。そのことに危機感を感じた会社が集まり、共同開発したのが『スマック』(発売当初は『スマック』、その後『スマックゴールド』に改名)だったんです

街のあちこちに自動販売機が設置されるようになったのも、ちょうどこの頃。大手に席巻されるわけにはいかないと話し合いが持たれ、新たな飲み物のアイデアとして挙がったのが、その頃、喫茶店で流行っていた「クリームソーダ」でした。

クリームソーダの写真
今でも沢山の人に人気のクリームソーダ
ソーダとアイスの相性が最高ですよね…!

アイスクリームがソーダ水に溶けたときの、ミルクの甘さとソーダの爽やかさを再現するにはどうするか。各社がそれまで培ってきた知恵を出し合い、商品開発が始まります。

そして、材料や製造工程など何度も試作が繰り返された後、ようやく完成したのが『スマックゴールド』です。そのレシピを、各会社が全国各地に持ち帰り、同じ瓶に同じラベルで一斉に発売。すると、世代を問わず楽しめる飲み物『スマックゴールド』は各地で大ヒットしたそうです。

みなさんお気付きでしょうか?
ということは、当時『スマックゴールド』は、全国各地で楽しめる飲み物だったのです。三原市のご当地ドリンクのさらに上をいく、言うなれば、国民的ドリンク。
全国の職人たちが力を結集して作り上げた逸品でもあったんですね。

全国に3社だけ。「スマックゴールド」を作り続ける理由とは

さて、それから50年以上が経ち、現在『スマックゴールド』を製造しているのは、国内でも桜南食品を含めわずか3社だけ。時代の変化で、やむなく廃業する飲料品メーカーが増えたこと、また、手間の掛かる製造工程も理由となっているようです。

スマックゴールドの製造過程の様子
『スマックゴールド』を作れる会社は希少な存在に…

「三原の方にとって『スマックゴールド』は懐かしい飲み物なんです。特に50代、60代の方にとっては幼い頃に飲んだ忘れられない味で、実は私にとってもそう。子どもの頃は体が弱くてよく熱を出してたんですが、そんなときは、母がいつも『これを飲んだら治るけーね』と枕元に置いてくれたんです」

材料に、食欲増進や疲労回復の効果が見込める「クエン酸」と、カルシウムやタンパク質を含む「ミルク」が使われているため、熱が高く食事が喉を通らないときも、これだけは飲めていたと言う安井社長。開発当初の味を守り抜くため、手に入りにくくなった材料を知識と工夫でカバーしながら、改良を重ねたレシピで作り続けています。

箱詰めされていくスマックゴールド
変わらぬ味を守るために並々ならぬ努力をされている桜南食品さん

風味づけのワインやリンゴ果汁、はちみつや脱脂練乳などを使用し、ミルクの柔らかい甘さと、爽やかさが広がるよう配合も工夫しています。乳成分を含むので、沈殿しないように工程に工夫が必要だったり、後味もすっきりさせるよう材料も微調整しています。もちろん最近では、より簡単に作れる香料や味を均一化できる材料なども出回っていますが、あえて安易な道は選ばないと決めています」

手間と時間を掛けてでも、その味を守り続けるのには、他にも理由があると言います。

「ものごころついた頃から飲んでる味が体に染み込んでいますので、材料を少し変えるだけでも、味わいや喉越しに違和感を感じてしまうんです。それに、昔から飲んでくださっているお客様も、その変化がわかるんですよ。私がやるべきことは、長年愛されてきたこの味を守り続けることだと思っています」

スマックゴールドの瓶底を見て品質をチェックしているスタッフ
みんなが真剣な想いで『スマックゴールド』作りに携わっています

この想いとこだわりこそが、『スマックゴールド』が三原市のご当地ドリンク、ソウルドリンクと称される所以。受け継ぎ、守り、繋げていくという安井社長の熱意はこれからも変わることはありません。

広島お好み焼きとの相性も抜群!三原市民のソウルドリンク

現在、桜南食品で製造している『スマックゴールド』には、一般に市販されている小瓶タイプのものと、広島市内の飲食店などで飲まれている、発売当初のままのレトロ瓶タイプの2種類があります。
懐かしい風合いのレトロ瓶は、コレクターや若い世代からも人気が高いようで、中にはケース買いを希望する方もいるそうです。ただ、こちらは市販のものとは違い、回収して繰り返し使われるリターナブル瓶。悩ましいところです。

レトロ瓶の写真
レトロ瓶のデザインもかわいい~!
しゅわしゅわ感が伝わります

ではせっかくなので、今回はレトロ瓶を開栓。

キリッと冷えた瓶からグラスに注ぐときの、トットットッという音がなんとも心地よく響きます。ほのかな甘さがイメージできる優しい香りも広がります。

では、いただきます。

甘すぎない柔らかな口当たりで、確かに、これはバニラアイスがソーダに溶けたときの味わい。間違いなくクリームソーダです。この再現力、飲料製造の職人たちの努力の結晶だと実感します。さらに微炭酸で飲みやすく、しかも喉越し爽やか。一気に飲み干してしまいました。
さくらんぼを添えると、喫茶店のクリームソーダの雰囲気も楽しめてレトロ感に浸れますよ。

グラスに注がれたスマックゴールド、上にはサクランボが乗っている
炭酸なのにごくごく飲めちゃう!
懐かしい美味しさです

どなたにでも受け入れやすい、甘さと爽やかさが特徴的な『スマックゴールド』。三原市民のソウルドリンクとして、お子さんから高齢の方まで幅広い世代に飲まれているのも納得です。

広島はもちろん東京の広島お好み焼き店からも注文が入るという『スマックゴールド』。広島のソウルフードとの組み合わせが好評なんだそうです。
そう言われると食べてみないと気がすまない私、2杯目は広島お好み焼きと一緒にいただいてみました。

広島お好み焼きは、小麦粉を使って薄く焼いたクレープ状の生地の上にキャベツと豚肉、中華麺などの具材、その上に薄く焼いた卵を被せてトロリとしてコクがある甘みたっぷりのソースで味付けがしてあります。
食べると蒸したキャベツの甘みと、香ばしい焼きそばと豚肉の旨味がソースと絡み合って濃厚なハーモニーを奏でるのですが、『スマックゴールド』を飲むことで、口の中をさっぱりリセットさせてくれるので食べ合わせもピッタリ、最後まで飽きずに美味しくいただくことができました。
一枚が多く感じる方や女性には特におすすめです。

これはまさに最高の組み合わせ、東京の広島お好み焼き店から注文が入るのも頷けます。

お好み焼きとグラスに注がれたスマックゴールド
ほふほふとお好み焼きを頬張って、スマックゴールドをゴクリ
さっぱりとした後味が相性抜群でした!

さて、桜南食品の3代目として伝統の味を受け継いでいる安井社長に、これからのことも伺ってみました。

「今では飲料品もペットボトルが主流で、当社のように瓶にこだわって製造を続けている会社も少ないと思います。ですが『スマックゴールド』にしても、その容器も含め、皆さんにとって思い出の一部になっていると思うんです。瓶を手に取り一口飲むだけで、味とともに懐かしい場面が蘇る。そんな飲み物を受け継いできた当社です。今後も、三原の方はもちろん、市外や県外の方にも愛していただけるよう、裾野を広げていければと思います」

現在、『スマックゴールド』は通販サイト Amazon、楽天市場、公式ホームページの他、下記の店舗で購入できます。三原市のご当地ドリンク、ぜひお試しください。

  • 三原市:道の駅 みはら神明の里、道の駅 よがんす白竜、やっさふれあい市場(JA三原)、お菓子本舗 イオン三原店、三原市内の各スーパーなど
  • 広島市:平和記念公園売店、市内飲食店(一部)
  • 東京都:ひろしまブランドショップ TAU

会社の紹介

桜南食品 株式会社
住所:〒723-0065 広島県三原市西野1丁目1-1
電話番号:0848-64-6611

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