
【レモンチーズタルト】受賞歴多数!お菓子のプロ創作人気タルト
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皆さん、「カルツォーネ」をご存知でしょうか?
実は私、初耳です……。調べてみると、「イタリア南部が発祥とされ、ピッツァと同じく小麦粉を使った生地に具材を包み、三日月型のように半分に折りたたんでオーブンで焼いたもの」だとか。現地では、家庭料理や軽食としてとても親しまれているそうです。
今回ご紹介するのは、一般的な惣菜テイストのカルツォーネではなく、一風変わったスイーツ版。
日本一の国産レモン生産地、しまなみ海道のほぼ中央部に位置する尾道市の生口島で無農薬で育った瀬戸田レモンとクリームチーズをマッチングさせた、『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』です。
製造しているのは、尾道市のお隣の福山市にある「株式会社ダイエットクックサプライ」。
「製造のきっかけは、地元の農家さんとの出会いなんです」と、代表取締役社長の彦田 英靖(ひこだ ひでやす )さんは話します。
同社は、外食産業等の業務用調味料を製造する「ケンコーマヨネーズ」のグループ会社として、スーパーマーケット向けのサラダや惣菜の開発・製造・販売を行っています。日々何トンもの野菜を扱いながら、いかに安くておいしい惣菜を作るか、ということに力を注いできました。ですが、福山市内の農家と関わるなかで、ある課題が浮かび上がってきたといいます。
(彦田さん)
「味は良いのに見た目やサイズが市場の規格に合わない、規格外野菜の話を耳にしたんです。当社でこの野菜をなんとか活かす方法はないか、と考えるようになりました」
ただ、広島県内でも屈指の惣菜製造量を有する同社において、材料の安定供給は不可欠で、毎日同じ品質・同じ量の食材を確保することが基本。地元の農家からの仕入れには不安定さがあり、規格外の野菜を導入することは難しかったそうです。ですが、「地元福山市の農家さんとのご縁を無駄にしたくない」と考えた彦田さんは、まずはできることから始めようと、規格外野菜を利用した新商品の開発に乗り出します。
そこで立ち上げたのが、チーム「福山工場長」。
福山という地域のブランド価値を高める商品作りを目標に、市内を拠点に活動する多様なメンバーが集い、本格的な商品開発がスタートします。今回ご紹介する『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』も、福山工場長が手掛けた商品。
その開発経緯や魅力について、彦田さんと、同社で商品開発や広報に携わる宇田 恭子(うだ きょうこ)さんに詳しくお聞きしました。
「福山工場長」というユニークなプロジェクトチームのコンセプトは、「困りごとを、魅力に変える」。
ものづくりのまちとして歴史ある福山で、さまざまな業種のプロフェッショナルたちが知識や技術、経験を持ち寄り、生産者の困りごとに光を当て、魅力あふれるものに変化させていきたい。そんな意味が込められています。
メンバーの顔ぶれは、食を通じて福山を盛り上げる「水呑 Cafe Boneu」のオーナシェフ鈴木 大孝(すずき とものり)さんをはじめ、地元のアーティスト、デザイナー、コピーライター、パッケージ資材会社、広告代理店など多彩。もちろん、地元の生産者もその一員です。
そして、ここでなにより目を引くのが、シンボルキャラクター。ハンマーを手に、ものづくりに向き合う筋肉隆々の男性キャラクターは、福山の底力や技術力の高さを表現しているそうです。
さて、このチーム「福山工場長」ですが、活動開始以来、規格外野菜を使った商品を次々に生み出しています。形や大きさが規格に合わないという理由で廃棄予定だった野菜を使った「ふぞろいトマトの旨味なソース」や「ピクルス」、その味わいがクセになると評判のスパイス「tomato&miso」「 red&chili」などラインナップも豊富。すべての商品には、おいしい素材をおいしく提供するという、ものづくりの信念も反映されています。
そして、商品のなかでも一番人気を誇るのが「つつんで“たすかる”ツォーネ」。生産者の「助かる」を意識し、地元産のトマトやほうれん草、小松菜やアスパラガスなどをピッツア風にアレンジした5種類のカルツォーネが製造されています。
(彦田さん)
「野菜のおいしさを引き出すことができ、なおかつ手軽に食べられるもの、ということで開発を進めました。レンジとトースターで温めるだで完成しますので、手間要らずです」
実はこのカルツォーネ、一般的なものとは違い、生地にジャガイモを練り込んでいるのも特徴です。
(宇田さん)
「当社は、普段からポテトサラダを製造しているため、常に蒸したジャガイモを使用できる状態なんです。ジャガイモをピザ生地に取り入れる発想は当社だからこそのアイデアだといえます。しかも、そのおかげで、表面はカリカリ、噛めばもちっとした食感を生み出すことができ、一味違ったオリジナルのカルツォーネに仕上がっています」
長年、商品開発に力を入れ、技術力や製造力もあるダイエットクックサプライ。その強みに「福山工場長」メンバーの知識と技術が加わることで、コンセプト作りから商品化、パッケージ作りにマーケティングまでを一気に実現できた「つつんで“たすかる”ツォーネ」。
困りごとを、魅力に変える、というコンセプトをもとに開発したこの商品は、「ふぞろいトマトの旨味なソース」や「さっぱりカットの白瓜ピクルス」とともに、「第8回 福山ブランド」に認定され、市を代表する特産品としても認知されています。
ダイエットクックサプライでは、以前から「クアトロ」と呼ばれるチーズと蜂蜜を組み合わせたピッツアも製造していたそう。そこで、カルツォーネにも「甘い」ものをライナップできないかという発想から、スウィーツカルツォーネの開発が始まります。
そして偶然出会ったのが、瀬戸田レモンの「皮」。このレモンの皮こそが商品誕生のきっかけになった、とお二人とも口を揃えます。実はこれ、以前この「なじみマガジン ONOMICHI」で紹介した「瀬戸内かんきつ」さんから取り寄せたレモンの皮だそう。果汁を絞った後の皮は廃棄されるしかなかったそうですが、福山工場長の取り組みによって、新たな使い道が広がったといえます。
(彦田さん)
「福山の野菜だけでなく、少し範囲を広げた地域からも素材を調達できないかと考えていたんです。そこで出会ったのが瀬戸田レモンの『皮』。無農薬で育てられた素材の良さはわかっていましたので、ぜひ使ってみようと思ったんです」
(宇田さん)
「これまで同様、アップサイクル※につながると感じました。しかも、そのレモンの皮を甘く煮込んでみたところ、香りも良くて、驚くほどおいしかったんです。これを活かさない手はないと思いましたね」
そこで、工場に常備しているチーズと合わせることで、カスタード風味のクリームを開発。ジャガイモを練り込んだオリジナルの生地で一つひとつ手包みして仕上げ、これまで見たことも食べたこともないスウィーツカルツォーネが完成しました。
※廃棄されるはずのモノに、デザインや新しい機能などに新たな付加価値を持たせて再利用すること
(宇田さん)
「なによりレモンの香りとおいしさが際立って、レモン好きにはたまらないスイーツができあがりました。チーズとのバランスも抜群ですし、素材を包み込む生地も、そのおいしさを引き立てています」
とはいえ、開発までに要した期間は約1年。長年、惣菜を作っている同社にとっても、初めての「チャレンジ」があったそうです。
(彦田さん)
「スウィーツカルツォーネは、ある程度の焼き上げまでは当社で行なっていますが、最後にオーブントースターで加熱する一手間を加えていただくことによって完成するんです。実現させるためには、商品を冷凍してお客様にお届けすることが必要。いつでもお好きなときに食べていただくためにも、長期保存できる冷凍技術は欠かせませんでした。そこで、その技術も含めて開発を進めたんです」
さらに、開発中には、冷凍したカルツォーネをさまざまなメーカーのオーブントースターで焼き上げ、おいしさや生地食感の検証が繰り返されたとか。そうして、試行錯誤のうえ完成した『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』。同時に開発された、いちじくとナッツのザクっとした食感がたまらない「スウィーツカルツォーネ いちじく&チョコレート」とともに、大人向けの味わいに仕上がっています。
(宇田さん)
「女性を中心に高評価を得ています。実は、ワインとの相性も良く、特別な時間にもおすすめできるスイーツです」
「困りごとを、魅力に変える。」というコンセプトで、商品開発を重ねていった「福山工場長」。
2025年には一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会より、生活者が「持続可能な社会」づくりに参加できる商品・サービスとして「ソーシャルプロダクツ・アワード」を受賞。地域に根差し、常に生産者の思いに真摯に向き合ってきたこれまでの活動が、高く評価された結果だといえます。
さて、目の前にある『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』。
正方形のパッケージに貼られたステッカーには、素朴なタッチでレモンのイラストが描かれています。作者は、福山在住の人気アーティスト、makoさん。その独特なタッチからはやさしさとかわいらしさが感じられ、こちらも大人の女性好みのデザインです。
それではいただいてみることにしましょう。
パッケージ裏面に記されている案内に従い、1,000Wのオーブントースターで5〜7分程度加熱※。徐々にスイーツらしい甘くて香ばしい香りがしてきました。すぐに食べたい気持ちをぐっと我慢してしばらく待ちます。
温め終わってオーブントースターから取り出すと、焼き立てのようにぷっくり膨らんだ熱々のカルツォーネが。
こんがりとした焼き色が食欲をそそります。
※お使いの機種などにより加熱時間が異なる場合がありますので適宜時間を調整してください
早速、あつあつを一口。
最初に口に入ってきたのはジャガイモが練り込まれた生地。表面はカリっと香ばしく、噛んでいるとだんだんモチっとしてくる食感が美味しい!
トースターで温めただけとは思えない、本格的な生地の味わいにびっくりです。
さらに食べ進めると、クリームチーズの上品な甘さとジューシーなレモンピールの爽やかさが絶妙なバランスで組み合わさり口いっぱいに広がります。
存在感のある瀬戸田レモンの皮は煮込んであっても香り高く柔らかいため、クリームチーズの食感とマッチしてほどよいアクセントに。
「レモンピールとして、これだけでも商品になるほどのおいしさ」と表現するお二人の言葉にも納得です。このスイーツの主役は、間違いなく瀬戸田レモン。レモンのおいしさが、いつまでも口の中に広がります。
食べ応えもありつつ、爽やかで甘すぎないのでサクサク食べ進めてしまい、あっという間に完食してしまいました。
さらに、おすすめの食べ方がワインとのペアリング。
『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』が瞬時に高級スイーツに変身です。フィリングの濃厚さが増し、レモンの爽やかさも一層際立つようです。
今回、レモンが少し苦手だというスイーツ大好きな制作スタッフにも食べてもらったのですが、これが意外にも大絶賛!
甘く煮てあるレモンピールは苦みや酸味がとれて丸く優しい味に、温かいクリームチーズのまろやかさや香ばしい生地が組み合わさって、とても美味しく食べられたとのこと。
「こんなに美味しいレモンスイーツははじめて食べました。クリーミーでウッとくる苦みがほとんど無く、温めた直後は香りが引き立って更に美味しく感じられました」と大好評でした。
レモン好きな方はもちろんですが、これまでにない味わいのスイーツなのでレモンが苦手な方にもぜひ味わっていただきたい絶品スイーツです。
(宇田さん)
「『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』ですが、ぜひ、地元福山で醸造されているワインと一緒に楽しんでいただきたいですね。そうすることで、福山のものづくりをさらに盛り上げることができるはずです」
(彦田さん)
「現在、当社では、従業員が地元農家さんを訪ね、野菜の収穫を手伝う体験もさせていただいています。農家さんの困りごとを現場で体感することで、さらに良いアイデアが生まれるかもしれません。大切なのは、楽しみながら向き合うこと。そうすれば、共感する人も自然に増えていくと思っています」
農家の困りごとは、福山工場長の手によって確実にその形を魅力に変え、地元を代表するブランドとして育っているようです。福山を代表する新スイーツ『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』、皆さんもぜひ一度味わってみてください。
現在、『スウィーツカルツォーネ れもん&クリームチーズ』は福山工場長のホームページ、福山市内の以下店舗で購入することができます。