
無添加ポン酢【はっさく島ポン酢】体にやさしくて美味しい!
- 調味料
- 無添加
- 柑橘
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瀬戸内の風景のなかに、いつのまにか広がり続けてきた竹林。放置されれば、イノシシによる獣害や土砂災害の原因にもなりかねません。
その「竹」に、新たな価値を見出そうと活動しているのが、一般社団法人クルクルオノミチ代表の藤本 浩平(ふじもと こうへい)さん。尾道の「竹のパイオニア」ともいえる存在です。

穏やかな海と坂道のまち、尾道。ノスタルジックな町家が並ぶ坂の風景の先には、島々をつなぐ「しまなみ海道」が見えます。
年間を通じて国内外を問わず多くの観光客が訪れますが、島や山手に足を運ぶと、人の手が入らなくなった竹林があちこちに見受けられます。「仕方ない」と地域の人たちからも見過ごされてきたその現状に、藤本さんは新たな可能性を吹き込んでいます。

「竹を食べてもらえる形に変えることで、竹林に循環を生み出したい。それが私が辿り着いた答えでした」
こうして誕生したのが、尾道発の新たな特産品『尾道タケタケ』です。
使われているのは、孟宗竹の幼竹(ようちく)。幼竹とは、長さ1~2m程度のまだ硬くなりきっていない竹のことで、そのやわらかく香り高い素材を生かし、花椒(ホアジャオ)※の風味を効かせた万能調味料。ご飯に少量混ぜると花椒の余韻がふわりと残り、パスタやチャーハンに加えれば深みのある味わいに変わります。食卓で手軽に使える新しいご当地の味として、今、注目を集めています。
※中国料理に使われる山椒の仲間、痺れるような辛さを持つ香辛料

尾道本土の対岸にある向島で生まれ育った藤本さん。そのキャリアの大半は、意外にもアフリカで培われています。
東京の大学を卒業後、新卒で入社したのはウェブ会議やセミナーを提供する企業。オンライン化が進み始めた時代に、営業から新規事業まで幅広く携わりましたが、心の奥には学生時代に訪れたアフリカの記憶が残っていたそうです。

「『アフリカの水を飲んだ者は、アフリカに帰る』ということわざがあるほど、あの土地には多くの人を惹きつける独特の雰囲気があります。私もその一人でした」
バックパッカーで旅をしたときに感じた、底知れない魅力。そして、援助が前提の経済支援ではなく、現地で雇用を生む仕組みが必要という気づき。それらを胸に、藤本さんは会社を退職し、再びアフリカへ向かいます。
まずは、エチオピアのコーヒー輸出企業で働きながら産業の現場を学び、その後モザンビークへ。
小規模フードコートの運営や日本食レストランの経営、不動産仲介など、現地の仲間とともに走り抜ける日々を送ったといいます。

「日本で働いていた頃のことを思い返すこともありましたが、アフリカで自分の力を発揮したいと、あらゆることに挑戦しました。
そこで学んだのは、仲間やチームの大切さ。そして、事業を立ち上げ、継続していくための資金調達やマネジメント力の重要性でした」
こうしてアフリカで得たビジネスの経験が、のちの尾道での活動へとつながっていきます。
やがて、第二子の誕生を前に、家族の将来も見据えて帰国を決意。2020年春、新型コロナの感染拡大で国際便がストップする直前に日本へ戻ります。
再スタートの地に選んだのは生まれ故郷の向島。帰国後は地元の臨床検査会社に入社し、現在は関連会社の代表を務めながら、仕事の傍ら竹林再生の仕組みづくりに取り組んでいます。
向島にUターンし、自宅周辺に広がる竹林を目にしたとき、藤本さんは衝撃を受けたといいます。
「子どもの頃から見ていた光景ではありましたが、竹の侵食が予想以上に深刻になっていて驚きました。このままでは大変なことになると感じましたね」

イネ科の植物である竹は、地下茎が横に伸びていきます。密集すると光が届かず、細く弱い竹ばかりが育ち、やがて風通しを求めて外へ外へと広がります。手入れの行き届かない竹林はイノシシの住処になり、さらに、根が浅い斜面では大雨による土砂崩れの危険も高まります。
「なにか手立てはないかと模索しました。最初は竹をすべて伐採するのが良いと思っていたんですが、調べていくうちに、整備された竹やぶを維持することが大事だとわかったんです。
しかも、竹の99%は食用の筍や建築資材などの目的で人が植えたもの。重要なのは、竹をなくすことではなく、手入れをしながら循環させる仕組みを整えることだったんです」

その「循環の仕組みづくり」という発想から生まれたのが、竹を「食」に変える一大プロジェクトです。
尾道青年会議所が主催する「ONOMICHI ビジネスプランコンテスト」で「次世代リーダー賞」を受賞したことをきっかけに、プロジェクトは本格的に始動。『尾道タケタケ』の商品化に向けてクラウドファンディングにも挑戦し、その独創的な発想は多くの支援を集めました。
「ひとりで始めた取り組みでしたが、少しずつ仲間も増えてきています。
作業としては、4月から5月にかけて孟宗竹の幼竹を切り出し、短冊状にカットしたものを茹でて塩漬けに。それを福岡県のメンマ製造工場に送り、『尾道タケタケ』に加工してもらっています。

とにかくインパクトのある商品を作りたかったので、花椒のパンチを効かせて、一度食べたら忘れられない味をめざしました。ニンニクやショウガも組み合わせたおかげで味わい深く、竹の歯ごたえもあって、幅が広く楽しんでいただける調味料に仕上がりました」
2024年に約250キロの幼竹収穫からスタートしたプロジェクトですが、「いずれは1トン規模まで伸ばしたい」と、藤本さんは意気込みます。
竹を食に変えて利益を生み出すことで、獣害も深刻な竹林を整備し、さらに、高齢化が進む地域の活性化にもつなげていく。その信念が藤本さんの原動力になっています。完成した『尾道タケタケ』は、調味料でありながら、地域の未来を形作るカギともいえます。
この『尾道タケタケ』ですが、使い方は自由!
冷奴にかけたり、チャーハンの具材にしたり、サラダやカルパッチョのドレッシングにアクセントとして加えたりと、和洋中のどんな料理にもアクセントとして使えるのが魅力です。

添加物を抑えた自然な味づくりも支持されているというこの商品、まずはそのままで味わってみます。
醤油の香りがふわっと立ち上り、「これぞ中華!」という奥深いコクが口いっぱいに広がります。「尾道ラーメンに着想を得た」という味付けだけあって、竹と一緒に刻み込んであるニンニク、ショウガ、長ネギがそのバランスを支えているようです。さらに、豆豉(とうち)と干しエビが旨みをもたらし、噛めば噛むほど花椒のピリっとした辛みが追いかけてきます。なにより印象的なのは、シャキシャキとした竹の歯ごたえ。おいしさの相乗効果を生み出しています。
この時点で、すでに調味料の域を超え小鉢料理的なポジションで食べたいと感じ始めている私。
充分に胃袋を掴まれた気分ですが、続けて着想を得たという尾道ラーメンにトッピングしていただいてみました。

一口食べるとフワッと鼻に抜ける醤油とスパイスの香り。
甘味とコクのある尾道ラーメンのスープと、醤油の香りにも負けない幼竹の旨味、豆豉や花椒のスパイシーな味わいが絶妙なバランスで、なんとも言えない美味しさです。食べ進めていくと、幼竹の旨味がだんだんスープに溶けだし、本格中華のような深みのある味わいに変化してきます。
また、麺をすすると細かく刻まれた幼竹のコリコリとした食感がアクセントに。
花椒やショウガなどのスパイスによるものなのか、背脂の脂っこさがいい意味で薄らぎ、一口、また一口と食べる手が止まりません。
気づけばあっという間に完食!これならもう一杯いけそうな美味しさでした。
さらに、藤本さんおすすめの食べ方は卵かけご飯との組み合わせ。こちらも試してみたいと思います。
ほかほかの白米に卵とネギ、そして『尾道タケタケ』を加えていただき、醤油で味付けしてからいただきます。優しい卵の味わいに幼竹とスパイスの複雑な旨味が加わり、食べ応えのある大人な味の卵かけご飯に。
藤本さんおすすめだけあって、これはクセになる美味しさです。

味、コク、旨みの3拍子が揃った万能調味料『尾道タケタケ』。
厄介者として捉えられていた竹が、ここまでおいしく変身するとは!恐れ入りました。脂っこいものが苦手な方や、花椒と味わいが似ている山椒が好きな方、マンネリ味付けに刺激の欲しい方にもおすすめしたい一品です。
「私がめざしているのは、竹を利用して、地域が持続していけるような循環を生み出すこと。子どもたちの世代にも、クルクルとそのバトンを手渡していきたいという思いを込めて、団体名を『クルクルオノミチ』にしました。
竹を活かす方法はさまざまです。このプロジェクトをきっかけに、誰もが竹に関心を持つようなムーブメントが起こせればと願っています」
『尾道タケタケ』の取り組みを機に、そのノウハウを他地域にも積極的に伝えていきたい、と藤本さんは話します。「竹を食へ変える」という発想が根付けば、放置竹林は資源の宝庫としての価値を持ち始めるはず。未来を拓く一歩が、尾道のまちから広がり始めています。
現在、『尾道タケタケ』は公式通販サイト、下記の店舗で販売中です。
