備後地域で愛される逸品を知る。

2023.11.29 2024/01/09

【温州みかん】柑橘の産地、生口島が生んだ完熟早生みかん

生口島で100年続く柑橘農家が育てた「温州みかん」

広島の柑橘といえば、やっぱりレモン。なじみマガジンでも、これまでレモンを使用した商品をいくつか紹介してきました。
ですが、穏やかな海からの潮風と暖かな気候に恵まれた瀬戸内では、他にも様々な「柑橘」が栽培されています。温州みかん、せとか、清美、はるみ、不知火など、10月頃から約半年間、それぞれの収穫時期に旬の味を満喫できる柑橘は、瀬戸内を代表する味覚と言えます。

その中でも一番なじみがあるのが『温州みかん』。いわゆる、冬のコタツに欠かせない、あのみかんです。
ひとくちに『温州みかん』と言っても、初秋から店頭に並ぶ「極早生」に始まり、「早生」、「中生」、「晩生」と種類があり、翌年2月上旬までそれぞれ違った甘味や酸味を楽しむことができます。

かごに盛られたみかん
冬のオトモといえばみかんですよね!

さて、今回ご紹介するのは、『早生の温州みかん』(※以降は温州みかんと表記)。10月下旬から年末頃まで収穫でき、甘味と酸味のバランスが最も良いと言われています。
その『温州みかん』の栽培が盛んなのが、しまなみ海道のほぼ中央に位置する広島県尾道市瀬戸田町の生口島。
多くのサイクリストが集まるこの島は、国産レモン発祥の地でもあり、山の斜面には見渡す限りの柑橘畑が広がります。

みかんがたわわになった木が沢山写ったみかん畑の写真
どの木も美味しそうなみかんの実がたわわになっています

訪れたのは、その生口島で100年以上に渡り柑橘栽培を受け継いでいる「もりの農園」さん。
以前なじみマガジンで紹介した、ジェラート専門店「しまなみドルチェ」さんの人気NO.1ジェラート「瀬戸田のデコみかん」に使われている高級柑橘「不知火」を栽培している柑橘農家さんです。

ジェラート専門店「しまなみドルチェ」
観光客やサイクリストに大人気のお店です
瀬戸内の風景を眺めながら食べる
「瀬戸田のデコみかん」は最高!

「美味しい柑橘を届けたい」との想いで、栽培に力を注いできた森野裕年(もりのひろとし)さんに、栽培への想いやこだわりなどについて詳しくお聞きしました。

父から娘夫婦へ。育てるのは愛情たっぷりの柑橘

「先先代から続く柑橘農家に生まれましたので、当然私も家業を継ぐつもりで学生の頃から栽培を学びました。父親の代には甘夏や八朔を中心に育てていたんですが、私が手伝うようになってからは、少しずつ「贈答用」として使われる品質の高い柑橘を育てるようになりました」

食べておいしいのはもちろんのこと、見た目も美しい柑橘を作ろうと、不知火などの栽培も手掛けるようになった森野さん。少しずつですが、販路も広げていったそうです。

不知火の実がなった木
美味しくて見た目も美しい
もりの農園の「不知火」

「その頃から変わらず、百貨店で取り扱っていただいています。贈り物として購入される方が多いですね。うちの柑橘が美味しいと、毎年買ってくださるお客様もいます」

最近では、それに加え、ネットを利用して生産者から農産物や加工品を直接購入できる「産直サービス」も開始。より多くのお客様に旬の柑橘を届けることができるようになったそうです。
そのきっかけは、娘の善子(よしこ)さんご夫婦が柑橘の栽培を手伝うようになったこと。
善子さんにもお話を伺いました。

笑顔の善子さんがミカンの入ったケースをもっている様子
娘の善子さん
なぜ栽培を手伝うことになったのでしょうか

「6年程前まで東京で暮らしていたんですが、子どもが生まれたタイミングで、自然豊かなこの島にUターンしました。
しばらくは、夫も違う仕事をしていたんですが、ある時、『お父さんがこだわって一生懸命育てている、美味しい柑橘の栽培を手伝いたい』と言ってくれたんです。
それを機に夫婦で柑橘栽培に専念するようになりました。
ここ最近は子育ても少し楽になって、私もSNSでの情報発信やホームページを通して、広報活動にも力を入れはじめています。産直サービスもその一つです」

知識も経験も全くなかった善子さんご夫婦。地元で開催される、移住者のための農業講習会に参加しながら、お父様指導のもと、日々柑橘栽培を学んでいます。

「愛情たっぷりに柑橘を育てる父の姿を見て、柑橘農家の道を選び数年経ちましたが、まだまだわからないことも多く勉強中です」

みかんの選別の様子
真剣な眼差しでみかんを選別するお父様

そう話す善子さんですが、ご主人と始めた有機栽培のレモンが、近頃「有機JAS認証」を得たそう。試行錯誤しながらも、100年続くもりの農園に、少しずつ新しい世代の色も加わり始めています。

手数を惜しまない、もりの農園のおいしくて美しい「温州みかん」

さて、『温州みかん』の栽培において、もりの農園さんは苗木を育てる段階からこだわりを持っています

「みかん畑の土は粘土質の赤土なんですが、苗木は、山から切り出した真砂土を好むんです。というのも、さらっとしていて水捌けの良い真砂土だと根を充分に伸ばすことができるから。ですので、苗木を育てる際には、4tトラックで何台分も土を山から運んできます」

苗木用に土を別に用意しているなんて!
その手間とこだわりに驚きです

おいしくて美しいみかんを育てる時に必要なのは、「どれだけ手数を掛けたか」と話す森野さん。他にも栽培の過程には様々なこだわりがあると言います。
中でも、特に力を注いでいるのが、水と肥料

作物の栽培に欠かせない水ですが、降水量が少ないこの島で、森野さんは地下70メートルまでボーリングし地下水を汲み上げています。地表の汚れの影響を受けない地下水は、その後、道路下に張り巡らされたパイプを通り、畑に灌水(かんすい)されています。

「ここ数年の気候変動で、雨の量も毎年違います。その影響を最小限に抑えるように、地下水で水の管理を行っています。それも、毎年同じ品質の柑橘を育てるためです。
もう一つ、樹の根元に敷き詰めている『タイベック』というシートも水の調整には欠かせません。特に、完熟を迎える時期に雨が降ると、みかんの味が水っぽくなってしまいますので、濃厚な甘味を保つためにこのシートの役割が大きいんです」

完熟したみかんの実がたわわになっている様子
完熟した「温州みかん」
樹の根元にはシートが敷き詰められていました

全部で4ヘクタール以上にも及ぶ柑橘畑にシートを敷くだけでも大変な作業ですが、雨の様子を見ながら外したり再び敷いたりと、その労力は並大抵のものではありません。

さらに肥料へのこだわりも、もりの農園さんならではです。
枝葉を粉砕して作られた有機肥料を数年放置することで微生物発酵を促し、栄養分をさらに豊富にしてから樹に与える。また、長期熟成させた液体酵素を使用し、樹そのものが持つ活力も高めていくとのこと。

「1年に1回だけ使用すれば良いというような化学肥料もあるんですが、やっぱり自然の力には叶いません。有機の肥料を数回に分けて与えるのには手間が掛かりますが、まろやかな味わいのおいしいみかんに育つんですよ」

みかんの木の横で笑顔を見せるお父様の写真
手間を惜しまないその姿勢に
みかんへの並々ならぬ愛情を感じます

こだわりの栽培に「手数」を惜しまない森野さん、こうも話します。

「栽培している私自身の味への評価は当てにならないと思ってるんです。品質への評価はあくまでもお客様がしてくださるもの。だからこそ、できることには手を抜きません。
『こんなにおいしいみかんは初めてです』と言っていただくと、本当に手を掛けた甲斐があったなと思いますよ」

甘味と酸味のバランスが絶品!完熟の早生みかん

さて、もりの農園の『温州みかん』ですが、オレンジ色が鮮やかでツヤツヤと光っていて、本当に美しい。皮そのもののきめも細かく、手触りもしっとりです。
森野さんご家族の栽培の様子が浮かび、思わず手にとってしばらく眺めてしまいます。
同時に、生口島の斜面に広がる畑で、太陽の光をたっぷりと受けながら育つ光景や、そこから眺める瀬戸内の静かな海の景色、心地良い潮風の暖かさも感じられるようです。

瀬戸内海と多々羅大橋を望むみかん畑
素晴らしい環境の中で育ったみかんは他にはない美味しさです

それでは、『温州みかん』、いただいてみます。

皮を剥く手も心なしかいつもより丁寧になりますが、その皮の薄さもあってか、とても剥きやすい。
しかも、実を包む薄皮もツルッとしていて一般的なみかんよりも薄く感じます。
そしてなんと言っても爽やかな香り。フレッシュな甘酸っぱい香りが広がります。
そのまま一房、口の中へ。

みかんの皮をむく様子
綺麗に剥けて嬉しい
早速いただきまーす!

これぞまさしく絶品の完熟早生みかん。
甘さ際立つ中にほどよく酸味も感じられ、それらのバランスが抜群です。
とにかく甘味が濃厚。こんなにしっかりとした味わいのみかんは初めてです。
しかもジューシーで、口の中がみかんのおいしさで満たされます。
ついつい、1つで終わらず2つ3つと手が伸び、おいしいみかんで幸せな気持ちに。

この濃い味わいが実現するのは、完熟していく過程での水管理を怠らない森野さんのこだわりがあってこそ。手数を惜しまないその姿勢が甘味と酸味に凝縮されています。

みかんの房が並んでいるようす
一粒一粒の果肉がプチっとジューシー!
美味しさが詰まっています

もりの農園の『温州みかん』から感じられるのは、おいしさはもちろんのこと、苗木から収穫まで、じっくりと手を掛け丁寧に育て上げた職人としてのこだわりと真摯な姿勢。
森野さんご家族の想いが伝わってくる「逸品」です。

実は、もりの農園の柑橘の中でも、特に甘みが強く濃厚な味わいに仕上がったみかんを「ドルチェみかん」と呼ぶそうです。
イタリア語で、甘い、優しい、甘美なを意味する「ドルチェ」。まさに森野さんが育てているのは、おいしさに加え、心までも和むような幸せな柑橘です。

瀬戸田産シトラスドルチェと書かれた段ボールの前に置かれたドルチェみかん
まさに名前の通りの美味しさ
ツヤツヤ美しいドルチェみかん

「丁寧に育てた柑橘です。『もりの農園の柑橘をぜひ食べたい』と言ってくださるお客様がこれからも増えればと願っています」

森野さんと善子さんご夫婦。愛情を込めたこだわりの栽培は確実に受け継がれ、さらにおいしい柑橘を育んでいます。
柑橘の産地でもある、ここ生口島から届けられる「逸品」を皆さんもぜひ味わってみてください。

現在、『温州みかん』は通販サイト 楽天市場(ふるさと納税)、ポケマルの他、公式ホームページや下記の店舗で購入できます。

  • スーパーイズミ(一部店舗)、スーパーユアーズ(広島市内各店舗)、スーパーAコープ(中国5県内一部店舗)

※季節商品のため、売り切れの場合があります。予めご了承ください。

生産者の紹介

もりの農園
住所:〒722-2404 広島県尾道市瀬戸田町垂水1593
電話番号:0845-27-2758

ホームページ