地元尾道の人から長年愛される「かりんとう」
幼い頃からなじみがあるお菓子といえば、皆さん何をイメージされるでしょうか?
世代によって様々だとは思いますが、40代以上の方にとって身近にあったお菓子の一つといえば「かりんとう」。香ばしさの中に優しい甘さがあり、またどこか安心感もある存在です。もちろん、おじいちゃんやおばあちゃんの中には、お茶請けとして欠かせないという方も多いかもしれませんね。
今回ご紹介するのは、広島県尾道市で60年以上にわたり、かりんとう製造のみを生業にしてきた「有限会社 製菓宮本」を代表するかりんとう『尾道かりんとう 大ねじ』。
食べ応えのある生地に糖蜜がたっぷりとコーティングされた伝統の逸品です。
決して甘すぎず、かりんとう特有のカリカリボリボリといった食感ではないクッキーを思わせる食感と味わいは、地元尾道の人からも長年愛されています。
今回は祖父の代からかりんとうを作り続け、その味を若い世代にも広げようと奮闘する3代目、宮本 欣己(みやもと よしき)さんにお話を伺いました。
幼稚園のおやつにも採用!新たな挑戦に踏み出した製菓宮本
製菓宮本の創業は1960年。自ら事業を起こしたいと考えていた宮本さんの祖父が、知人からかりんとうの製法や機械を譲り受けたところから始まります。当時は、職人が自らの手で成形した生地を大きな釜で揚げていた時代。作業工程は今より随分と多かったそうです。
「生地作りは現在機械で行っていますが、成形だけは昔と変わらず手作業です。祖父の代から勤めている職人もいますので、その頃から受け継いできた技術を大切にしています。生地の厚みによって揚げ具合や食感が変わりますので、ここばかりは機械には頼れません」
かりんとう作りで「肝」ともいえる成形。現在、製菓宮本で製造している10種類にも及ぶかりんとうですが、それぞれ違う厚みや形に仕上げているそうです。
「『大ねじ』のように棒状の生地を縄のように撚(ひね)るもの、長方形の生地の真ん中をつまみリボン状にするもの、2種類の生地を重ね合わせ巻いたものをスライスするものなど、形も違えば、全て味も異なります。それぞれにコアなお客様がいて、どれも人気商品です」
ココアやレモン、ひじきに味噌などかりんとうの味も様々。中でも『尾道かりんとう 大ねじ』は、不動の人気を誇り、尾道土産としても定番の商品です。
「かりんとうは、簡単にいえば練った小麦粉を揚げて砂糖をコーティングしたものです。日本だけではなく世界中に似たお菓子があるのは、それだけ手軽に作ることができる、誰にとっても身近なお菓子だからです」
ちなみに、日本でかりんとうが食べられ始めたのは奈良時代。遣唐使が持ち帰ったそのお菓子の歴史は1200年以上に及び、多くの方に愛されているのにも納得がいきます。ただ、近年はお菓子の多様化により、かりんとう離れも進んでいるようです。
「かりんとうと言えば、やはりおじいちゃんやおばあちゃんがよく食べているイメージです。私としては、もっと若い世代の方や子どもたちにも食べていただきたい。そこで、瀬戸内で栽培されているレモン、100年続く広島の老舗味噌メーカーとのコラボ商品など新しい味わいも開発し、まずは興味を持ってもらおうと取り組んでいます」
広島ならではの味を作り出すために、地域の名産品とのコラボレーションにも積極的に挑戦している宮本さん。試作を繰り返しながら、続々と新商品の構想を広げています。
さらに、お菓子はスーパーで購入するという発想だけではなく、おしゃれな雑貨屋でも手に取ってもらえるような商品も開発中とか。デザイナーとの新たなパッケージ作りもこだわっているそうです。
「当社のかりんとうを園児のおやつとして採用していただいている幼稚園もあるんです。シンプルな素材で作った素朴な味わいだからこそ、子どもたちにももっと食べてほしい。少しずつ、皆さんにとっての定番のお菓子になれば嬉しいです」
素朴で食べ応え抜群!製菓宮本の「かりんとう」
宮本さんにとっては、幼い頃から常に側にあったお菓子「かりんとう」。工場で作業する祖父や父の様子を目にし、その香ばしくて甘い香りも感じながら育ったそうです。
「家族の姿を見ていましたので、いつかは家業を継承するということは無意識のうちに心に決めていたような気がします。かりんとう作りのみを生業にしていることへの誇りも感じていたんでしょうね」
高校卒業と同時に専門学校で製菓を学び、その後、京都の和菓子屋で修行を積んで帰郷。実際に家業に関わるようになり、シンプルが故にごまかしの効かない味に、製菓宮本が長年受け継いできたこだわりも感じたと言います。
「かりんとうの材料は、基本的に小麦粉と卵と膨張剤、それから砂糖のみです。通常は卵と膨張剤の代わりにイーストを使いますが、そこが他社の商品との一番の違いだと思います」
一般的なかりんとうにイーストが使用されるのは、軽い食感を出すため。一方、製菓宮本ではその代わりに卵と膨張剤を使うため、食べ応え抜群のかりんとうに仕上がっています。また、揚げ油に菜種油を使用することでさらっとした味わいになるとか。
「今は『軽い食感』が求められる時代ですが、それには左右されず、あえて食べ応え重視のかりんとうを作っていきたいと思っています。『これが製菓宮本のかりんとう』だとお客様に認めていただけるよう、当社ならではの材料と製法にこだわり続けていきたいですね」
尾道土産におすすめ!「尾道かりんとう 大ねじ」
創業以来変わらぬ味を受け継いでいる『尾道かりんとう 大ねじ』。
パッケージには、尾道市立大学の学生が手掛けた尾道水道を行き交う渡船の風景が描かれ、情緒ある港町の逸品であることをイメージさせます。
それでは、定番の緑茶と一緒にいただいてみます。
ザクっとした噛み応えのある食感。香ばしく素朴な味わいの生地と、表面にコーティングされた糖蜜の甘味が程よくマッチしています。菜種油を使用していることから、油っぽさを感じることがなく、クッキーを食べているかのような印象も。シンプルな味わいなのに、噛めば噛むほど優しい甘さが口に広がり、素材の良さも感じます。しかも、しっかりとしたボリュームある生地にもかかわらず、その素朴な味わい故についつい手が伸びてしまいます。
一緒にいただく緑茶との相性も良く、ホッと一息付けること間違いなし。リピート率が高いということも頷けます。
そして、意外に思われるかもしれませんが、個人的にオススメなのが牛乳との組み合わせ。かりんとうのほのかな卵の風味と糖蜜の甘みが牛乳のまろやかさと合わさって相性抜群なんです。口の中に優しい甘さがじんわり残って、一口、また一口と食べ進めたくなる美味しさです。
ドーナツやチュロスが好きな方はハマる組み合わせかもしれません。
緑茶などの苦みが苦手なお子さんにもオススメで、保育園に通う子供を持つ「なじみマガジン ONOMICHI」のスタッフがおやつで出したところ大好評。
幼児にはやや大きめなサイズなので、あっちかなこっちかな、どこから食べようかな、と試行錯誤している様子でしたが、一口かじると「おいちぃ」が止まりません。
牛乳も飲むだけではなく浸して食べたりと大満足。くるくるとねじられた形に牛乳がよく絡んでとっても美味しかったようです。止まること知らずで食べ続けるので、かりんとうが入っている袋をそっと隠したところ、床に寝転んで駄々をこねる始末。まさかこんなにハマるとは…
この組み合わせに驚きを隠せなかったそうです。
昔ながらのかりんとうを思い出させる『尾道かりんとう 大ねじ』ですが、甘すぎない丁度いい甘さと、ザクっと食べ応えのある食感。
ご年配の方からお子様まで家族みんなが美味しく食べられるお菓子だと思います。
「かりんとうという名前は知っていても、若い世代を中心に食べたことがない方もまだまだ多いんです。その方たちにも気軽に手に取っていただけるように、伝統の味を守りつつ、さらに新たな商品開発にも挑戦し続けるつもりです」と語る宮本さん。
素朴な味わいだからこそ、多くの方にも愛されるはず。
尾道土産としておすすめなのはもちろん、広島のお土産としても、皆さんにぜひ買い求めていただきたい逸品です。
現在、『尾道かりんとう 大ねじ』は通販サイト Amazon、楽天市場(ふるさと納税)、公式ホームページの他、下記の店舗でも購入できます。
- 尾道市:ええじゃん尾道、尾道ええもんや各店、イオンスタイル尾道、道の駅クロスロードみつぎ、MATE各店、ニチエー各店
- 広島市:ひろしま夢プラザ
- 東京都:ひろしまプランドショップ TAU