備後地域で愛される逸品を知る。

2024.05.31 2024/06/03

【杵つき塩豆餅】金賞受賞!もっちり食感、材料にこだわった逸品

ジャパン・フード・セレクションで金賞受賞!「杵つき塩豆餅」

いつの頃からか、目にすることが少なくなった「餅つき」の光景。
数十年前までは、年末の恒例行事として家族や親戚が集まり、子どもから大人までがワイワイガヤガヤと一日がかりで作業を進めていたものです。もちろん、幼かった私にもその思い出が。
大人たちが蒸し上がったばかりのもち米を臼に移し、合いの手を入れながら杵でリズミカルについていく様子や、できたてのお餅に醤油やきな粉をまぶし口に頬張ったときの幸福感は、今でもはっきりと覚えています。

臼と杵でお餅をつく様子
杵つきでしか味わえない美味しさがありました

ですが、近年ではどこの家庭でも市販されているお餅を買うのが主流に。しかも機械製造されたお餅が出回り、手軽ではあるものの杵でついたお餅との味わいや食感の「違い」を感じることもしばしばです。

そんな折、取材をする中で美味しいと評判のお餅に出会ったんです。
それが「ばらもち本舗 千萬喜家(ちまきや)」さんの『杵つき塩豆餅』。昔ながらの杵つき製法で作られたお餅は、ほのかな塩味と、もちもちとした弾力が自慢で、第69回ジャパン・フード・セレクションで金賞を受賞した逸品です。

お皿に乗った豆餅が三枚
豆がたっぷり入った千萬喜家さんの塩豆餅
JAPAN FOOD SELECTION 金賞受賞の盾
金賞受賞の美味しさ…
気になります!

広島県の東端、福山市草戸町にある千萬喜家の工場からは、日が昇る数時間前よりお餅作りの作業が始まります。
「これを毎日繰り返しています。できたてのおいしいお餅を食べていただこうと、早朝には全ての作業を終わらせ、工場併設の店舗やスーパーなどに並べます」

そう話すのは、取締役専務の越智 陽介(おち ようすけ)さん。新たな商品開発や情報発信に力を注ぐ次期3代目です。

下積みを3年経験、次期3代目が取り組むお餅作り

ばらもち本舗 千萬喜家は越智さんの叔父が創業。その後、現在の代表である母の良子さんが跡を継ぎ今に至ります。当時、中学生だった越智さんは、毎日朝早くからお餅作りに向き合う母親の姿を目にし、無意識のうちに自分の将来を重ね合わせていたようです。

「大阪で就職したんですが、28歳のときに東京転勤を打診されたのをきっかけに、福山に帰ろうという思いが湧いてきたんです。その頃、Uターンする地元の友人たちもいましたし、僕も福山に戻って母を手伝おうかと」

店前でインタビューを受ける取締役専務の越智 陽介さん
幼い頃からお餅作りを見ながら育った越智さん

そして帰郷。まずは下積みとして洗い物からスタートしたそうです。いくら3代目を引き継ぐ立場とはいえ、ベテラン揃いのスタッフの中では新米。一つひとつの作業を丁寧に学んでいくところから始めたと言います。
お餅作りの作業開始は早朝3時半。それまでの仕事とは全く違うものの、当初より朝早い作業も苦にならないという越智さん。とにかく全ての工程と技術を早く覚えたい一心で、気づけば3年が経っていたそうです。

「まずは、前日から水に漬けておいたもち米を充分に水切りし、そこからせいろに移し蒸していきます。ふっくらと蒸し上がったもち米を、次に機械の臼に移し、1トンもの力の杵でついていきます。そして、できあがったお餅を成形し、袋に詰めていく。
今では作業も一通りできるようになりましたが、あんこ作りだけは母が担当。レシピは秘伝で、伝授してもらえるのはまだまだ先になりそうです(笑)」

木製のせいろでお米を蒸している写真
もち米を蒸すせいろ
お米のいい香りがたまりません
蒸されたもち米が機械の臼と杵でつかれている様子
どんどんお餅になっていく様子が面白い♪

自らの今の役割は、他のスタッフ同様、作業をスムーズにこなせるようになること。そして、若さとチャレンジ力を活かした商品開発と情報発信だと言います。

「朝の10時には全ての製造作業が終わりますので、そこからは地元のスーパーと共同で新たな商品を考えたり営業に出かけたりと、一日中走り回っています」

杵つき塩豆餅」のこだわりは材料と杵つき製法、そして無添加

季節商品も加えると、お餅のラインナップは実に20種類以上。
中でも、素朴で優しく、どこか懐かしい味わいの『杵つき塩豆餅』は、創業当初からの看板商品です。

「この味を生み出しているのは、こだわりの材料と杵つき製法。そして、全ての商品に共通している、保存料を一切使用しない無添加でのお餅作りです」

まずは材料。100%広島県産のもち米は、もちもちした食感と、噛むほどに増していく甘さが特徴。
黒豆は厳選した北海道産のものを使用しています。そこに加える塩も広島県産にこだわり、水は一級河川 芦田川沿いにある千萬喜家の敷地から地下水を汲み上げ利用しています。
せいろで蒸し上がったもち米を、1トンもの力の杵で10分間ついていくのもポイント。人では到底及ばない力でつくことで、もち米の繊維を潰すことなくまとまりのあるお餅に仕上がり、粘りと弾力が生まれます。

切り分ける前の大きな豆餅
こだわりの詰まったお餅がつきあがりました
黒豆もたっぷり!
餅を型に手で詰めている様子
手で型に詰めていきます
うぉぉぉ!

「コシのあるお餅は、鍋物や汁物に入れてもドロっと溶けてしまうことがないんです。時間が経っても、伸びの良い食感を楽しむことができます」

さらに、安心安全な食を提供したいとの思いから、添加物は不使用。これも千萬喜家が変わらず貫いている姿勢です。

「日持ちの観点からも、無添加のお餅は珍しいんです。市販のお餅には賞味期限が1年以上のものもありますが、当社では真空パックの商品でも20日と設定しています。当社のスタッフは、普段から自ら作ったお餅を食べるんですが、それも安心安全だからこそです」

店頭に置かれた様々な味のお餅
左からナッツ・砂糖・豆餅塩と並んでいる
無添加で、しかも美味しい
私がスタッフだったら食べ過ぎちゃいそうです♪

その品質の良さとおいしさが評価され、2023年には一般社団法人日本フードアナリスト協会が主催する第69回ジャパン・フード・セレクションで金賞を受賞
審査員からは「杵つきで生まれる商品のコシや伸び、滑らかさが素晴らしい」、「広島県産もち米100%、無添加、杵つき製法で、塩加減も丁度良い」などの声が挙がり、特に素材や安全性で高い評価を得たそうです。

焼いても煮ても変わらぬ粘りともっちり食感「杵つき塩豆餅」

さて、期待度100%の『杵つき塩豆餅』、実際にいただいてみようと思います。
透明の袋には大きく「塩」の表示。中のお餅を見ると、そのきめの細かさが一目瞭然です。さらにジッパータイプなので、全て食べ切らなくても安心して保存可能。主婦目線での心配りを感じます。

越智さん曰く、フライパンやトースターで焼いても、レンジで加熱してもどちらでもおいしくいただけるとか。こんがりとした焼き色がついたほうが好きな私は網焼きプレートを使いましたが、家にあるもので気軽においしく焼けるのは嬉しいですね。

焦がさないようひっくり返しながらおおよそ5分、焼き色がついたら完成です。こんがりとしたきつね色と香ばしい香りがたまりません。

網の上で焼いた豆餅、焦げ目がついて美味しそう
ぷく~っと膨れてきたらお待ちかね!

一口食べると、パリッと小気味良い焼き目の食感。続いてコシのあるもっちりとした弾力と上品なもち米の甘みを感じます。
柔らかく伸びるお餅はきめ細かく、丁度いい塩気も相まって絶妙な美味しさです。
黒豆は焼いてもほっくり柔らかく、もちもちとした食感の中にアクセントをつけてくれています。
噛めば噛むほど塩味を上回る甘味が広がって飲み込むのがもったいない。あっという間に一切れ完食です。

次は、越智さんおすすめのお味噌汁に入れて。
白餅はお雑煮などで食べる機会も多いですが、塩豆餅を汁物でいただくのは初めてです。
折角なら美味しいお味噌汁でいただきたい!ということで、今回は古くから味噌づくりが盛んな地域、広島県府中市で作られた白味噌を使いました。

四角い黒い皿に白味噌が盛られている様子
府中で作られる「府中味噌」
400年程前から受け継がれてきた伝統の味です

熱々のお味噌汁の中で煮込むことおよそ3分、しっとりと柔らかなお餅に。
普通は煮るとドロドロに溶けて他の具材と引っ付いたりするものですが、この『杵つき塩豆餅』は箸で摘んでも溶け落ちず、元の半円の形が保たれています。

一口食べると、焼いたときよりももっちりコシのある食感のお餅が、汁や具材としっかり絡んでとても美味しいです。
甘めの味噌汁にお餅の塩気がよくあって、それぞれの旨味が際立っています。香ばしい黒豆に食欲を刺激され、こちらもあっという間に食べ終わってしまいました。
越智さんがおすすめするのも頷けます。

味噌汁に入れた豆餅を箸でつかんでいる様子
お味噌汁に塩豆餅
一度試してみてください!

もち米、黒豆、塩、水のみのシンプルな素材だからこそ、それぞれの良さが際立ち、なおかつ素朴な味わいの中に深みも感じました。一つひとつの作業に手を抜かない、作り手のこだわりを感じる逸品です。

「お餅やあんこは、ボディービルダーやスポーツ選手にも好んで食べられるんですが、それは脂質がゼロの上、エネルギー源となる糖質や植物性タンパク質をすぐに摂取できるからです。当社も、地元のサッカーチームと提携して、試合の際には商品を提供させていただいています。特に試合直後に食べると、次の日の回復が全く違うそうです」

健康志向が強くなる中で、様々なお餅を作り続けている千萬喜家への注目は今後も増していきそうです。越智さんの商品開発への熱量も、それに伴いアップすること間違いなしですね。

「『杵つき塩豆餅』は当社にとっての看板商品ですが、これを超えるような新たな商品も作りたい。それが今の、僕の目標です」

両手を広げて笑顔で写真に写る代表取締役
千萬喜家さんの作る新しいお餅
楽しみです!

現在、ばらもち本舗 千萬喜家の『杵つき塩豆餅』は、通販サイト 楽天市場、公式ホームページの他、下記の店舗でも販売中です。

  • 福山市:エブリィ各店(産直コーナーがある店舗のみ)、さんすて福山、FUKUYAMAふくふく市
  • 府中市:道の駅びんご府中

お店の紹介

ばらもち本舗 千萬喜家
住所:〒720-0831 広島県福山市草戸町1-2-10
電話番号:084-931-0808

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