備後地域で愛される逸品を知る。

2023.12.13 2023/12/13

【味噌ドーナツ】リピーター続出、ほどよい塩味がアクセント

府中味噌を使ったご当地スイーツ「ヘルシーみそド」

料理をする際の調味料の中でも、「わが家の味」の決め手として「味噌」にこだわっている方、多いのではないでしょうか。
九州出身の私にとって、味噌は「甘口」が基本。ですので、ここ広島に暮らすようになって困ったのは、幼い頃からなじみの深い味噌が手に入らないことでした。しばらくは、ジプシーの如く味噌を探し彷徨える日々が続き、ようやく辿り着いたのが、今回ご紹介する逸品にも使われている「府中味噌」だったんです。

積まれた府中味噌
府中は古くから味噌づくりが盛んな地域
美味しいお味噌が沢山あるんですよ

その府中味噌を使い、なんとスイーツを作っているのが「パティスリーパンセ」さん。
広島県東部の府中市にある老舗洋菓子店の看板商品、『ヘルシーみそド(以下、みそド)』は、味噌を隠し味に使用した焼きドーナツです。

パティスリーパンセの店舗
パティスリーパンセさん
オレンジの屋根がおしゃれなお店です

府中市といえば、「府中味噌」。400年程前からこの地で受け継がれてきた伝統の味です。暖かな気候と良質な水、それから麹をふんだんに使い仕込まれた味噌は、香りと旨味が特徴的。ほどよい塩味も喜ばれる、地元の方にとっての故郷の味です。

その府中味噌を使ったご当地スイーツ『みそド』、一体どんな味わいなのでしょうか?
まずは、お店のルーツから、パティスリーパンセの店長、稗田由子(ひえだゆうこ)さんにお話を伺いました。

パティスリーパンセの店長、稗田由子さん
沢山気になることが!
早速インタビューしちゃいます

徹底した素材へのこだわり、笑顔を届けるためのお菓子作り

「創業は明治12年、当初は『西村屋』という和菓子屋でした。今は5代目の父と、6代目の弟が洋菓子を中心に作っています。
19年前、現在の場所にお店を移転したとき、店名を『パティスリーパンセ』に変更しました。両親が三色すみれ(パンジー)を好きなことから、その名前の由来にもなっているフランス語の「パンセ」と名付けています」

店内の様子
キラキラとした店内
沢山のスイーツに心が躍ります♪

創業当初、府中市の中心部、西村地区に店を構えたことから、屋号を「西村屋」と命名。甘いものがまだまだ貴重だった当時、腕のいい職人が作る饅頭やどら焼き、カステラなどが庶民を楽しませていたそうです。

その店が「パティスリーパンセ」に名を変え、少しずつ洋菓子作りにも取り組み始めたのは、由子さんの父親である5代目の丸尾博文(まるおひろふみ)さんが店を任されるようになってから。時代と共にケーキや焼き菓子の需要が高くなり、店の品揃えも和から洋までと徐々に増えていきます。
さらに、現在お店の代表である弟の丸尾洋介(まるおようすけ)さんは、関東の洋菓子店で10年以上に渡り修行。今では、創業当初からお店を支えてきた、どら焼きとカステラを残し、洋菓子店として店を構えています。

西村屋どら焼きが販売されている様子
代々受け継がれる西村屋のどら焼き

「一番大切にしているのは、スイーツを通して笑顔を届けること。数ある洋菓子店の中から、パティスリーパンセを選んで足を運んでくださったお客様に、当店のスイーツで幸せな時間を過ごしていただきたいと思っています」

ケーキに焼き菓子など、ラインナップは100種類以上。定番商品から、季節の旬を味わえる果物を使ったケーキなど、店内には色とりどりの商品が並びます。中でも目を引くのが、「ヘルシー志向の方へ」の文字が添えられたケーキ。食物アレルギーの方でも安心して食べられるようにと作られたものです。

「ヘルシー志向の方へ」の札が付いたトロワフリー
左のWフロマージュも美味しそう!

お店の商品は全て、こだわりの素材を使用して作っています。地元のものや国産のものを基本に、生産者や生産地が明らかなものだけを一つひとつ厳選しています。
さらに、小麦や卵、乳製品など、食物アレルギーなどの方でも安心して食べていただけるスイーツ作りにも力を入れています。というのも、私自身が若い頃、突然、アトピー性皮膚炎を患ったからなんです」

実は由子さん、高校生の時に食べ物が原因のアトピー性皮膚炎を発症。かなり重症だったため、入院も余儀なくされたそう。
それ以来、由子さんだけでなく、ご家族皆さんの食物アレルギーに対する認識が変わったと言います。

「特に母は、様々な本を読み『食の安全』を追求しました。当時は今のようにアレルギーやアトピーに関する情報も少ない時代でしたので、大変な苦労だったようです。そのことをきっかけに、安心安全に食べていただける素材を選び、使用するようになりました。ですが、このことは同時に、新たな挑戦でもあったんです」

ドライフルーツやナッツなどの食品を虫眼鏡で見ている写真
お母さまの並々ならぬ努力がうかがえます

素材を変えるということは、風味や味わいの他、膨らみなどが大きく変化するため、それまでと同じクオリティーのスイーツを完成させるまでには、何度も試作を重ねたとか。
また、小麦や卵、乳製品などを使用しないスイーツの開発はそれ以上に大変な苦労があったと言います。

「食物アレルギーは命にも関わることですので、素材を吟味することは私たちにとって当然のことなのかもしれません。商品を完成させるまでには長い時間が掛かりましたが、この努力がお客様の笑顔につながると思うと、簡単には諦められませんでした。
ですが、ご家族のどなたかがアレルギー体質のため、これまで一緒にケーキを食べることができなかったお客様から、『家族みんなで丸いケーキを囲んでお祝いできました』という声をいただくと、やっぱり私たちの選択は間違っていなかったと実感します」

完成まで3年、最高級味噌で作ったヘルシーな味噌ドーナツ

さて、今回紹介する『みそド』にも、もちろんこだわりの素材が使用されています。
卵と牛乳は広島県産、小麦粉は熊本県産、砂糖は鹿児島のサトウキビ由来のもの。また、素材に混ぜ込まれる油は、地元府中の米油を使用しています。そして、味噌はもちろん地元伝統の府中味噌です。

ではなぜ、そもそも味噌を使ったスイーツを作ることになったのでしょうか?

「娘が幼い頃、ママ友から声を掛けられたのがきっかけなんです。その友人は、府中市の中でも最も長い歴史を持つ『金光味噌』の後継者。素材にこだわり、味噌造りを続けてきた方です。
お互いに母親だったこともあり、子どもたちの健康に繋がる『食』にとても関心を持っていました。そこで、スイーツと味噌をコラボさせることで、それぞれの特徴を活かした、おいしくて安心安全な商品を開発することができないかと。もちろん、このまちを代表するような『府中みやげ』を作りたいという想いもありました」

金光味噌の外観写真
金光味噌のお店
趣のある佇まいは歴史を感じます
金光味噌の店内の様子
店内にはもちろん沢山のお味噌がずらり
どれも気になる…!

洋菓子と味噌。府中で「老舗」と呼ばれる2つの店による新たな商品作りがスタートします。
これまで、和菓子である饅頭やどら焼きの皮に、風味付けの材料として味噌を使うことはあったそうですが、洋菓子の場合は果たしてどうなのか。

「『みそド』が完成するまでには、3年ほど掛かりました。その間、様々なスイーツに味噌を合わせ、いくつも試作品を作りました。味噌も、赤味噌、中味噌、白味噌と種類がありますので、それらを組み合わせて作っては試食。納得するものができるまでに、何度繰り返したかしれません。
ですが、子どもに安心して食べさせられるスイーツは、当然、お客様にも喜んでいただけるはずですし、『2つの店がコラボすれば、良いものしかできないはず』と確信もあったんです」

そしてついに、一般的なドーナツとは違い、油で揚げない「焼きドーナツ」の『みそド』が完成。2010年の発売以来「パティスリーパンセ」の人気商品として、多くのお客様を笑顔にしています。

ヘルシーみそドの写真
ついに完成した『みそド』!
今ではファンも多い人気商品だそうです

素材として選んだ味噌は、金光味噌さんの最高級味噌『秀峰(しゅうほう)』。こちらも、厳選された原料のみを使い、伝統的な製法で造られた白味噌です。まろやかな味が特徴で、『みそド』にいい塩梅の塩味を加えてくれています。全ての素材がうまくお互いを引き立てあって、上品な味わいのドーナツに仕上がりました」

府中白みそのパッケージ写真
試行錯誤の末たどり着いたベストお味噌「秀峰」

40代、50代のお客様を中心に、手土産としても購入されることが多いという『みそド』。
おいしさはもちろんですが、揚げるタイプの一般的なドーナツに比べ、焼きドーナツはカロリーも約半分と、健康に気を遣う方からも喜ばれているとか。「一度食べたら、また食べたくなる」とリピーターも多く、遠方から訪れる方もいると言います。

甘味と味噌の塩味がクセになる、リピータ続出のおいしさ

『ヘルシーみそド』、パッケージに包まれたフォルムがぷっくりとしていて、なんともかわいらしい。
表面の焼き具合から、生地のきめ細かさも伝わってきます。

水色と白のストライプ柄のパッケージに梱包されたヘルシーみそド
つやつやなドーナツが美味しそう~♪

どんな香り?どんな味?
パッケージを開ける手に期待がこもります。

ではまずは香りから。
甘い香りの奥に、濃厚な味噌の香りもほのかに感じます。邪魔をするわけではなく、でも間違いなく味噌が使われていると分かる、どことなく懐かしさも感じる香りです。

そして半分に割って一口。
ちょうど良い甘さと並び、感じる塩味。お互いが主張し過ぎず、まさに「いい塩梅」です。
噛むほどにそのバランスの良さが伝わってきます。
ドーナツなのに和菓子の雰囲気も感じさせる、不思議な、しかもこれまでに味わったことのないおいしさ。「和」の味噌が「洋」のドーナツと組み合わさることで、こんな味わいになるとは驚きです。
リピーター続出の理由、よくわかります。

ヘルシーみそドをフォークで切って食べている様子
シンプルだけどクセになる美味しさ
お茶、コーヒー、紅茶なんでも合いそうです

また食感も絶妙。しっとりなのに、ふわっとした柔らかさもあり、お子さんから高齢の方まで年齢問わずにおすすめできるドーナツです。

素材を厳選し、そこに地元伝統の味噌を加え、何度も試作を繰り返して完成した『ヘルシーみそド プレーン』。明治から受け継がれた、腕の確かな職人が作るパティスリーパンセの看板商品は、間違いなく府中市を代表する逸品のスイーツです。

「府中市は奈良時代に備後国府が置かれた歴史のあるまちですので、創業100年以上の会社も多いんです。残念ながら人口は減る一方ですが、このまちで頑張る若い世代の後継者たちが、連携して府中を盛り上げていこうという活動も行っています。パティスリーパンセもその一員として、このまちを元気にしていきたい。
そのために、地元の素材を使った新しいスイーツ開発にも、まだまだトライしていこうと思っています。大切なのは、お客様に笑顔を届けること。パティスリーパンセのスイーツでそれを実現することが私たちの願いです」

店内のショーウィンドウの前で笑顔を見せる店長
府中のため、お客さんの笑顔のため
熱い気持ちが伝わってきます!

『ヘルシーみそド』には今回紹介したプレーンの他、チョコとレモンも楽しめます。

現在、『ヘルシーみそド』は通販サイト 楽天市場(ふるさと納税)、公式ホームページの他、「道の駅びんご府中」、東京千代田区にある「府中市アンテナショップNEKI」(不定期)で購入できます。

お店の紹介

パティスリーパンセ
住所:〒726-0005 広島県府中市府中町506-1
電話番号:0847-41-2564

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