備後地域で愛される逸品を知る。

2023.08.21 2024/04/11

【ロバクッキー】可愛いらしい!もらってうれしいクッキー缶

大切な人へのプレゼントに。尾道ロバ牧場の「ロバクッキー」

食べ終わった後も小物入れなどさまざまな用途で楽しめるということで、話題を集めるクッキー缶。
おしゃれでかわいい缶に目が釘付け、さらに蓋を開けて一口食べると口いっぱいに幸せが広がるのが魅力ですが、自分用に、それから大切な方へのプレゼントにと、購入される方も多いようです。
今回ご紹介するのは、その中でもとびきりの「逸品」、「尾道ロバ牧場」さんの『ロバクッキー』です。

ロバクッキーを真上から撮った様子
尾道といえば猫が有名ですが、こんなに可愛いロバのクッキーがあるんです!

その逸品を求めて訪れたのは、広島県尾道市東部にある浦崎町。
瀬戸内海に突き出す半島に位置しており、宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」の舞台として知られる「鞆の浦」から車で20分程の場所です。
その浦崎町の小高い丘にある「尾道ロバ牧場」。オーナーの田頭泰治(たがしらたいじ)さんが造った、ロバのためのパラダイスです。ご実家が代々受け継いでこられた土地を、草刈機とチェーンソーのみで切り開き、現在、敷地内にある4ヶ所の牧場で、8頭のロバを飼育されています。

そんな「尾道ロバ牧場」さんがなぜ『ロバクッキー』を作ることになったのか、田頭ご夫妻にお話を聞きして逸品たる所以をご紹介したいと思います。

ロバ牧場の看板
ロバ牧場の看板ももちろん手作り!
ロバがえさを食べる写真
ロバ達が賑やかに暮らしています
ロバのアップ
優しいおめめが魅力的です

ロバと一緒に暮らしたい…1冊の本との出会いが運命を切り開く

『ロバクッキー』が気になるところですが、まずは、田頭さんに、この牧場をオープンした経緯についてお聞きしました。

「学生当時、1冊の本との出会いがありました。ノーベル文学賞を受賞した、スペインの詩人、フアン・ラモン・ヒメネス(1881-1958)の散文詩「プラテーロとわたし」です。
その本には、プラテーロという名の雄ロバと、作者ヒメネスの生活が綴られているんですが、僕がなにより惹かれたのが「風景」。彼らの日常の様々な出来事や様子が、全て「風景」となって心に大きく響いたんです。
それ以来、いつの日かロバと一緒に暮らしたいと思うようになりました」

インタビューに答える田頭ご夫婦
学生時代に手にした「プラテーロとわたし」をめくりながら、
当時の想いを語ってくださいました

その願いをずっと心に秘めていた田頭さん。月日が流れ、2011年、念願叶ってロバを飼育することに。
個人宅でロバを飼うこと自体珍しいことですが、岡山県の動物園から1頭の雌ロバを譲り受けます。
その名も「プラテーラ」。ついに田頭さんのロバとの生活が始まります。

当初は、飼育やしつけのことなどわからないことも多かったそうですが、動物園からのアドバイスもあり、しばらくして雄のロバ「ダルボン」も迎えることに。2頭の間には、毎年のように子どもが生まれ、やがて大きなファミリーになったそうです。

プラテーラとダルボンが寄り添う写真
自宅の階段に飾られた
プラテーラとダルボンが寄り添う写真

それから10年、田頭さんの仕事がひと段落したこともあり、多くの方にロバと触れ合ってほしいと、2021年、「尾道ロバ牧場」をオープンする運びに。

SNSでの情報発信もあり、現在まで、全国各地から訪れる方が後を絶たないと言います。
牧場内に併設したゲストハウスを利用される方も多く、その8割近くが東京からのお客様とのこと。餌をやったり、触れ合ったり、普段とは全く異なる環境で過ごすロバとの時間には、「とびきりの癒し」効果があるのでは、と田頭さん。

「ロバ好きの方は意外に多いんですよ。特に40代から50代の方がよく来られます。きっと、ロバと一緒にのんびりと過ごしたいんでしょうね。必ずと言っていいほど、「また来ます。」と言って帰られます」

現在、牧場の運営には、ベルギー出身のフランソワさんも加わり、ロバの飼育やSNSの発信、ゲストハウスの管理なども一緒に行っているそうです。

ロバと戯れるフランソワさん
スタッフのフランソワさんもロバ牧場の虜になった一人です

試作を重ねて完成した『ロバクッキー』と、有名アーティストが手掛けるパッケージ缶

「ロバ牧場」をオープンする前から、ここの噂を耳にし、ロバに会いに来る方も多かったとか。その時、「訪れた方に、何かお土産になるようなものを」という思いで、奥様の順子(じゅんこ)さんが作り始めたのが、可愛らしいロバの形をした『ロバクッキー』だったそうです。

お皿に並べられたロバクッキーとスギナのクッキー
ロバ好きにはたまらなく嬉しいお土産ですね!

「せっかくここまで足を運んでいただいたので、皆さんに喜んでもらえればと思って作り始めたんです。当時は、1頭ずつラッピングしてお売りしていました」

以前からお菓子作りを趣味としていたこともあり、順子さんの『ロバクッキー』は、その見た目の可愛らしさと味でお客様たちを魅了、すぐに商品化の話が持ち上がったといいます。
そうなると、お一人では賄(まかな)いきれないということで、順子さんのレシピをベースに、広島県三原市にある「お菓子工房ゴドー」さんにクッキー作りの協力を依頼することに。

「ゴドーさんは、添加物を一切使わず、自然由来の原料でお菓子作りをされていますので、安心してお願いできると思いました。ですが商品化までには、使用する材料の選定や、割れにくい固さの見極めなど、ゴドーさんと何度も試作を繰り返したんですよ」

真剣な眼差しでロバクッキーのことを話す奥様の写真
商品化までには沢山の課題がありました

この『ロバクッキー』には3種類のスパイスが使われています。シナモン、ナツメグ、そしてカルダモン。焼き上げる過程で香りが飛んでしまいやすいスパイスのため、産地やメーカーなど様々なものを試したとか。その甲斐あって、口に含んだ瞬間に甘くて優しい香りが広がるクッキーに仕上がったそうです。
また、全国各地への発送にも耐えられるようにと、割れにくさも追求したとか。味わいをそのままに、小麦粉など、材料の分量を細かく調整しながら、ようやく1年後に『ロバクッキー』が完成したそうです。

そして、クッキーの試作と同時に進めていたのが、パッケージ缶のプロデュース

皆さん、缶の蓋に描かれている絵のタッチ、どこかでご覧になったことがありませんか?
そうなんです。これらの絵、販売が開始されて以降毎年、有名なアーティストによってデザインされています

イラストレーター・黒田征太郎さん、影絵作家・藤城清治さん、そして、イラストレーター・わたせせいぞうさん。皆さん、この地で長年ロバを飼育している田頭ご夫妻の活動に賛同されたそうです。

歴代のパッケージ缶
どのデザインも手に取りたくなる魅力的なイラストです

「藤城清治さんは、「プラテーロとわたし」の挿絵を描いておられますし、わたせせいぞうさんは、実際にこの牧場に足を運んでくださいました。皆さん、本当に快くデザインを引き受けてくださったんですよ。それぞれ画風が違って、素晴らしい作品です」と田頭さん。

美味しさはもちろん、缶のデザインにも惹かれ、リピート購入する方も多い『ロバクッキー』。特に、プレゼントとして利用する方が目立つそうです。
「あの方の喜ぶ顔が目に浮かぶ」、皆さん、きっとそう思いながら贈られるのでしょうね。

可愛らしい形と忘れられない味に魅了!全国にファンを持つ逸品

蓋を開けると、『ロバクッキー』、その周りに『スギナのクッキー』。まるで、牧場をロバが散歩しているかのようなイメージです。
これまで手にしたクッキーの中でも、間違いなく、とびきり可愛らしい形に、「ズキュン!」。一瞬にして心を奪われてしまいます。

指でつまんだロバクッキー
かわいい~!とにっこり
そして牧場のロバ達を思い出してまたにっこり

まずは『ロバクッキー』から。どこから食べていいものか、しばらく悩んだ末に一口。

順子さんがこだわったというスパイスが、ふわっと口に広がります。
強すぎず、弱すぎず、程よい香り。特にシナモンの甘い香りの心地よさが絶妙です。
ロバの目や鼻、体の模様などに使われている、瀬戸内レモンとカカオのアイシングシュガーもアクセントになっています。
スパイスの香りと、レモンの爽やかさ、カカオのビター感などが程よく重なり合っているこのクッキー、なんだか懐かしい味わいにも感じるのが不思議。一度食べたら、忘れられない味です。

そして、ロバが喰む牧場の草をイメージしたスギナが入ったクッキー。
実際に、ロバが大好物だというこのスギナは、広島県三原市の竜王山で採取されたものが使用されています。
サクッ、ホロッと、とても口溶けがよく、ほのかにスギナの香りもする優しい味で、『ロバクッキー』との違いも楽しめます。

お皿の上に並ぶスギナのクッキー
こちらも甘すぎなくて美味しいクセになる味です
ちょっとだけロバの気分♪…?

可愛らしい形に、どこか懐かしさも感じさせる味わい、そしてずっと手元に置いておきたい洗練されたパッケージ缶。発売依頼、雑誌やTVでも取り上げられ、全国各地にファンを増やし続けています。

「ゲストハウスもありますので、ぜひロバに会いに来てほしいですね。瀬戸内海も望める、静かでのどかなこの場所で、ロバと触れ合いながら、のんびり過ごしていただきたいです」

一冊の本との出会いから始まったロバとの暮らし。今では、田頭ご夫妻とフランソワさんと共に、それから8頭のロバたちがゆったりとした時間を過ごしています。そして、訪れた方たちを笑顔にしています。

ロバのえさとなる藁を切る田頭さん
ゆったりとした時間が流れる中、
ロバたちの餌を準備する田頭さん

現在、『ロバクッキー』は通販サイト 婦人画報のお取り寄せの他、公式ホームページや下記の店舗でも購入できます。

  • 広島:尾道ロバ牧場、ベラビスタ スパ&リゾート 尾道、ホテル鴎風亭
  • 東京:ひろしまブランドショップ TAU

牧場の紹介

尾道ロバ牧場
住所:〒720-0551 広島県尾道市浦崎町899-3
電話番号:090-9732-1991

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