鮮度抜群!農業法人うづとが栽培する「アスパラガス」
広島県のほぼ中央に位置する世羅町。
緑豊かな山々に囲まれた高原のまちでは、朝晩の寒暖差を利用した農作物の生産が盛んで、米や野菜、果物など、季節ごとに様々な旬の味わいを堪能できます。
また、春先から秋にかけては、芝桜やラベンダー、ひまわりなどの花々が咲き乱れ、高原を彩ることでも有名。その美しさを一目見ようと、県内外からの観光客も後を経ちません。
さて、今回ご紹介するのは、世羅町で育つ農作物の中でもひときわ栽培量が多い『アスパラガス』。
町内に点在するビニールハウスでは、空に向かってまっすぐに伸びる『アスパラガス』を度々目にすることができます。
鮮度抜群、しかもあっと驚くような見た目の『アスパラガス』があると聞き訪れたのは、世羅町の南部、小世羅に位置する「農業組合法人うづと」。
そのこだわりの栽培方法やおいしさについて、アスパラの生産に長年携わってきた女性スタッフの方に詳しくお伺いしました。
おいしい「アスパラガス」を届ける。収穫後はすぐに出荷
5反(5,000㎡)にも及ぶ広大な農地を有する農業組合法人うづと。
ここでは、コシヒカリやミルキークイーンなどの「きぼう米」、そして『アスパラガス』が栽培されています。特に『アスパラガス』の栽培は世羅町の中でも随一。敷地に立つ8棟のビニールハウスや路地での収穫量は、多い日には300kgにも及びます。
「1日に数cmも成長するアスパラは、3月下旬から10月頃までの間に春芽と夏芽が収穫できます。一番の特徴はこの太さ。収穫したてのみずみずしいアスパラを食べていただこうと、午前中に収穫したものはその日のうちに出荷しています」
そうなんです。農業組合法人うづとの『アスパラガス』は、これまで見たことがないほどの「太さ」。小田さんが見せてくれたものはこれまでの概念をはるかに超え、圧倒的な存在感を放っています。
「ご存知ない方も多いんですが、アスパラの繊維の数は細くても太くても一緒なんです。しかも約90%が水分ですので、細いと繊維が気になりますが、太いと噛んだ瞬間に驚くようなジューシーさを感じます」
私もそんなことはつゆ知らず。調理時間の短縮や食べやすさを考え、ついつい細いものを選んでいました。ですが、実際に触ってみて納得。太くても弾力があり、水分を多く含んでいることがよくわかります。
「ただ、アスパラは収穫したその時から乾燥が始まるんです。ですので、鮮度がなにより重要。収穫したものをすぐに出荷するのもそのためです」
早朝よりお昼までの収穫が終わると、すぐさま選別、袋詰めし出荷まで行うのは、「新鮮でおいしいアスパラを食べてもらいたい」という思いがあってこそ。
「現在、この農園をまとめている代表理事の小田さんはとにかく一途な性格で、『良質でおいしいものをみなさんにお届けしたい』と全力で栽培に取り組んでいます。作業は大変ですが、私たちスタッフもその思いに共感し信頼しているからこそ、品質の良さにこだわり、出荷までの作業にも手を抜きません」
収穫した『アスパラガス』を選別する際にも、一切の妥協はしないというスタッフの皆さん。味には全く問題がなくても、少しでも曲がっていたりキズがあるものはB品として選り分けています。良いものだけを届けたいという一心で、選別の目は自ずと厳しくなるそうです。
自然の恵みと徹底した管理。高原生まれのアスパラガス
「JGAP」、皆さんは耳にしたことがありますか?
Japan Good Agricultural Practicesの頭文字を取ったもので、農畜産物の生産工程で生産者が守るべき管理基準とその取り組みのことを指し、「良い農業の取り組み」や「農業生産工程管理」などと訳されます。SDGsに繋がる理念も多く、環境に配慮した持続可能な農業のために生産者が取り組むべき基準として、栽培方法や、土壌や水の管理、農薬の適切な使用など約600項目が定められています。
その厳しい基準をクリアし、JGAP認証を得ている農業組合法人うづと。安心安全でしかもおいしいアスパラガスと米を消費者に届けるために、年2回の定期検査にも毎年合格(※2024年7月現在)しています。
「第三者機関から認証をいただくことで、この農園への信頼度をより高めることができればと思っています。ですが、それも農作物を栽培するのに適した『世羅』という環境があるから。特に、水と土はこの土地だからこその自然の恵みだと感じています」
まずは水。高原のまち、世羅町は標高400~500mのなだらかな山々に囲まれており、蓄えられた雨が時間をかけてミネラルをたっぷりと含む地下水となり、途切れることなく湧き出しています。『アスパラガス』の大部分を占める水分は、その清らかな水がもたらすもの。世羅の大地そのものの味わいが『アスパラガス』を生み出しているとも言えます。
そして土。微生物がイキイキと活動し養分が豊富な土は、堆肥などの有機肥料を足されることにより病気に強く、さらに肥えた土に。土本来が持つ活力を最大限に活かした土づくりだからこそ、農業の持続性も追求できます。
「ただ、JGAPの認証を受けるには『管理』も重要です。夏芽を収穫した後に、紅葉した葉や茎を刈り取り、根だけを残して越冬させます。その際、次の年の春芽がすくすくと育つように、根に充分な養分を与えることが必要です。
そのためには、土の管理が肝心。葉の処理をきちんと行い、畝をバーナーで焼いたり、土を入れ替えたりという作業も続きますので、『アスパラガス』の栽培管理はほぼ1年を通して行われるんです」
しかも、豊富な水があるとはいえ、多過ぎれば根腐れの危険性が増し、少な過ぎれば形や味が劣化してしまいます。また、ハウス内の温度管理もポイント。生育にとっての適温を保ちつつ、さらに病気になっていないかなどの確認も日々の必須作業です。
「忙しい毎日を乗り切れるのも、私たちがこの農園の『アスパラガス』のおいしさをわかっているから。世羅ブランドとして自信を持って皆さんにも知っていただきたいです」
天ぷらとしゃぶしゃぶでいただく!「極太アスパラガス」
ここ、農業組合法人うづとでは、『アスパラガス』の収穫体験も行っています。
そこで、私も家族で参加させていただくことに。
ハウスに入ると、60mにも及ぶ3本の畝には、芽を出したばかりのものや大きく育ったものなど、数え切れないほどの『アスパラガス』が並びます。どれを見ても、柔らかなグリーン色が鮮やか。
その中から、長さと太さがあるものを見極めながら、1本1本ハサミで根元からカットしていきます。
その感触がまた心地良い。ついつい、収穫の手が進みます。幼い孫たちも「大きいね!長いね!」と、納得がいく1本を探すのに夢中。あっという間にカゴいっぱい収穫できました。
そして、『アスパラガス』を持ち帰り、早速調理に取り掛かります。それにしても、この太さは圧巻です。
まずは下処理から。
根元の紫がかった部分は硬いのでカットし、穂の4〜5㎝下から根元に向かってピーラーで皮を剥きます。これで下処理完了。
ちなみに、当日に食べきれなくても、3〜4日ならビニールに入れ冷蔵庫保存で大丈夫とのこと。それ以降は根の部分を2mm程カットし、水につけておくのが良いとか。ただし、『アスパラガス』は新鮮さが一番。1週間以内には食べてほしいとのことです。
さて、調理するのは、小田さんおすすめの、丸ごと1本の「天ぷら」と、薄くスライスして楽しむ「しゃぶしゃぶ」です。
それでは、天ぷらから。
『アスパラガス』のみずみずしさを味わうなら、カットせずにそのまま揚げるのが一番とのことで、衣を絡め大きなフライパンで揚げていきます。3〜4分程度でできあがり。揚げたてを塩だけでいただきます。
カリカリの衣と、歯応えのある『アスパラガス』の食感。その後に、ジュワッと旨みが広がります。ほのかな甘味も感じられ、採れたての新鮮なおいしさが抜群。シンプルな食べ方だからこそ、大地の恵みを丸ごといただいているような感覚の一品です。
続いて、しゃぶしゃぶも。
下処理の際のピーラーをそのまま使用しスライスした『アスパラガス』を、豚肉と一緒にしゃぶしゃぶ。ぽん酢でいただきます。
こちらはさっぱり感が際立つ一品。『アスパラガス』のシャキシャキとした食感と柔らかい豚肉が絶妙のコンビネーションです。それぞれの旨みと甘味が相乗効果となり、エンドレスで箸が進みます。
しゃぶしゃぶは、これまで経験したことのない調理法ですが、我が家の定番になること間違いなしです。
いずれも『アスパラガス』の品質の良さがダイレクトに伝わるいただき方。まさにここ世羅町の逸品だと感じます。
『アスパラガス』のお茶やジャム、ピクルスなど、他社とのコラボも含め、新商品もリリースしている農業組合法人うづと。今後もより多くの方にそのおいしさを伝えようと、栽培への情熱は深まり続けているようです。
「現在、北海道から沖縄まで、インターネットを通じて全国の方にそのおいしさをお届けしています。一度食べたら何度もリピートしてくださるほどの支持をいただいていますが、さらに多くの方にお届けできればと思っています。ここ世羅の豊かさを感じていただける『アスパラガス』をぜひ味わっていただきたいですね」
現在、農業組合法人うづとの『アスパラガス』は、現地直売所、ホームーページの他、下記で販売※しています。
- 世羅町:甲山いきいき村、道の駅 世羅
- 尾道市:ええじゃん尾道、道の駅クロスロードみつぎ
- 広島県:イズミ各店、イオン各店
※季節商品のため、売り切れの場合があります。予めご了承ください。