隠れた名店!生産者の顔が見えるもち米で作った「豆大福」
おはぎに団子に最中に饅頭。
数ある和菓子の中でも庶民の味と親しまれている和菓子の一つが大福ですよね。
大福は、江戸時代より餅と餡の組み合わせによる腹持ちのよさから、庶民の食べ物として親しまれてきたのが始まりとされています。
いくつもの時代を超え、長年愛され続けている大福。
そんな中でも豆の水玉模様が目を引き、他の餅菓子にはない“しょっぱさ”が売りの『豆大福』は舌の肥えたファンが多い一品。
お取り寄せを楽しむ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回伺ったのは、広島県福山市で86年間お菓子を作り続けられている神田製菓所さんです。
神田製菓所さんの店舗「杵福(きねふく) かんだ」では、生産者の顔が見えるこだわりのもち米で餅菓子を作られています。
今では少なくなった餅屋が作る餅菓子は評判を呼び、地元の方はもちろん遠方の『豆大福』好きからもお取り寄せされる隠れた福山の名店です。
そんな神田製菓さんですが、以前は大手量販店などに餅菓子を卸されていました。現在の小売店へと業務変更されたのには思いもよらない出会いと熱い想いがあったからでした。
その出会いと想いも含めて、神田製菓所さんがこしらえる『豆大福』をご紹介していきます。
美味しいの理由、お米に対する餅屋としてのこだわりと想い
神田製菓所さんは3代目にあたる現当主神田さんのおじい様が創業されました。
当初から「素材となるものが良いものでないと、良いお菓子はできない。だから素材はいいものを使おう」ということを大切にされてこられました。
味の良さからたくさんの量販店やホテル、式場などに餅菓子を卸していた神田製菓さんですが、今から約25年前、神田さんはある一人のお客様から広島弁で「お前んとこは誰が作った米を使っとるんか」と尋ねられます。
当時、信頼できる米問屋さんから良質な米を仕入れていたため「米農家さんです」と答えた神田さんですが、そのお客様に「どこの誰が作ったかもわからん米をお前は使っとるんか」と言われてしまいました。
その時は男性の言っていることがつかめなかった神田さんですが、ずっとモヤモヤと心に残っていたそうです。
それから数年後、米問屋さんに誘われて生育が難しいとされる酒米も上手に育て上げる米農家の岩村さんを訪れた神田さん。
岩村さんの米に対する愛情と手間暇かけた栽培に感銘を受けた神田さんは、「安心して任せられる農家さんと顔の見えるお付き合い。あの時の男性が言いたかったことはこれか!」と思いました。
さらに実際食べてみるとその差は歴然!
“いい素材を使おう”という方針のもと、これまでさまざまな良い品種のお米を使ってきた神田さんでもこれに勝るものはない!と感じられたそうです。
「お客様が納得する美味しいものを、そしてこのお米に対するこだわりや想いを餅屋としてお客様に届けたい!」と感じ、岩村さんのお米をメインに切り替えたいと考えました。
しかし大手量販店は基本的に薄利多売。そのため岩村さんのお米では利益が出ません。
そこで神田さんは一念発起し卸業を縮小、平成18年に小売店「杵福 かんだ」として形態を変えたのでした。
お取り寄せしたくなる『豆大福』誕生にはこんなキッカケがあったのでした。
「豆大福」のこだわり、杵つき餅と銅鍋を使った直火製法の餡子
ここで隠れた名店、神田製菓さんの『豆大福』のこだわりを紹介します!
米農家の岩村さんが栽培されているもち米は「こがねもち」という新潟の高級品種。美味しいお米を安心して食べていただくために農薬をほとんど使わず有機栽培で育てられています。
神田製菓所さんの強みは、餅屋ならではのもち米を100%使った杵つき餅。
大福は餅粉や白玉粉でつくるお店が多い中、神田製菓所さんは“餅屋ならではの杵でついた餅”を大切にされています。杵で丹念についたお餅は、上から力が加わることによって滑らかな舌触りかつ、コシが強いお餅になるのだとか!
岩村さんのお米で作るお餅は白くて滑らかできめが細かく出来上がるそうです。
こだわりはお餅だけにとどまりません!
中の餡子は北海道産小豆を使用し、昔ながらの銅鍋を使った直火製法で作られています。
銅鍋は火の伝導率が良いため焦げやすく、人手が取られ扱いづらいと年々使用しているお店は減っているそうです。しかし神田製菓所さんではその日の環境や用途によってあえて少し焦がして香ばしさを出したり、旨味を出すのに欠かせないこともありわざわざ手間のかかる銅鍋を愛用されています。
この銅鍋、火の伝導率が良すぎて完成後3分以内に餡をバットに移さないと餡の状態が変わってきてしまうそうなんですよ!ウルトラマンみたいですよね(笑)
そして『豆大福』の主役と言っても過言ではない餅に混ぜ込まれた豆!
赤えんどう豆が使われることの多い豆大福ですが、神田製菓所さんの使う豆は北海道産の黒大豆「光黒(ひかりくろ)」を使われています。
この大豆の特徴はなんと言ってもその大きさ!プリッとした食べ応えのある大粒でピカピカと光沢のある豆なんですよ。
その豆を蒸すのではなく塩味で煮崩れないように丁寧に炊いて混ぜ込まれているのです。
炊くことによって柔らかくなり、ご年配の方でもお子様でもどなたでも食べやすいように工夫されていました。
手間暇かけた美味しさ!お取り寄せしてみたい「豆大福」
米、餡、豆。
それぞれに想いを込めながら作られている福山の隠れた名店、神田製菓所さんの『豆大福』。
それらが合わさったハーモニーがどんなものなのか気になりますよね。
卸業をされていた時は利便性のため包餡(ほうあん)を機械で行っていたそうですが、機械で包むと餅生地は押し出す圧力によってストレスがかかってしまい、粘り強くなってしまいます。そうなるとせっかくの杵つきの良さが台無し。食べた時の食感にも大きく影響を与えてしまうため、現在では機械を使わず一つ一つ人の手で餡を包まれているんだそうですよ。
簡単にできる方法が目の前にあるのに、美味しさを追求した結果手間のかかる方を選ぶ。
さすが職人さんですよね!
それではさっそく頂いてみたいと思います。
まずお餅部分を一口、うん、しょっぱい!このいい具合のしょっぱさ、他の和菓子にはない、豆大福だな~と感じさせてくれるポイントですよね♪
100%もち米から作られる餅生地なだけあって、とってもやわらかいです。
口の中にまとわりつくような粘っこさは一切なく、もちもちプリッとしていながら歯切れのいい食感です。塩味がいい塩梅でお餅部分だけでも満足できそうな餅の美味しさ!
さすがお餅屋さんが作る餅ですね♪
続いて豆大福の醍醐味、豆の部分をいただくと、ほんと豆が大きい!大きいのに柔らかく、でも歯ごたえもある大粒です。食べ応えある豆なので「豆大福食べてます!」って気にしっかりとさせてくれます。
では大きな口で餅・餡子・豆を一緒に堪能してみます!
餡子は甘すぎず、もちの塩加減が中の粒餡の味を引き立たせてくれているのが分かります。
餅の旨味、豆の存在感、塩と餡子の絶妙な加減、どこをとっても美味しいと感じさせてくれ、満足させてくれる豆大福ですね!
舌の肥えたお客様からお取り寄せの問い合わせが入るのも頷けます。
現在、『豆大福』は店頭もしくはクール配送のみで購入できます。食べてみたいけど福山市までは行けないという方は、ぜひお電話でお取り寄せをしてみてくださいね♪
お店の紹介
有限会社 神田製菓所
住所:〒720-0813 広島県福山市道三町2−6
電話番号:084-923-5391