備後地域で愛される逸品を知る。

2021.07.03 2024/04/11

黒猫のイラストがかわいい!尾道土産【尾道紅茶】の深イイ話

和菓子や食事とともに飲みたい!シンプルに美味しい「尾道紅茶」

皆さんは紅茶をどんなタイミングで飲むことが多いですか?
もともとヨーロッパで親しまれ日本にも伝わった紅茶。そのため紅茶=洋食のイメージが強い方も多いはず。

しかし今回取材で頂いた今川玉香園茶舗さんの『尾道紅茶(ヌワラエリヤ)』を飲んで常識が一変!
「あれ?このスッキリ感…。これ普通にごはんと一緒に飲んでもおいしいやつじゃない??」

紅茶独特の飲んだ後に舌がキュッとするような渋みはあるものの、一切後を引かず口の中がスッキリ。
紅茶単体で飲んでいると渋み・苦味の陰に見え隠れする甘みがあり、実はこの陰にある甘みこそおいしさのポイントだそうです。

現当主も「この紅茶は和菓子にも合うね。しかも粒餡!」とのこと。
これが粒餡のコロコロとした触感と甘みとのバランスが最高で相性が抜群だそう♪

おはぎが三つ皿に乗っている写真
粒あんの甘みと紅茶のスッキリとしたお味がベストマッチ!

ヌワラエリヤとはセイロンで最も高地にある産地の茶葉で、緑茶に似た渋みがあるのが特徴なので、砂糖やミルクなど何も入れてない状態でぜひ一度飲んでみてほしいです。

黒猫のイラスト缶で復活!尾道で親しまれていた紅茶

今川玉香園茶舗の店舗外観
落ち着いた店構に赤い「尾道紅茶」の旗が目立ちます

今回訪れた今川玉香園茶舗さんは明治11年創業の尾道を代表する日本茶屋さんです。
でも今回頂いたのは“紅茶”。
尾道へ来たことがある方ならお土産コーナーで黒猫のかわいいイラストが描かれた『尾道紅茶』、
見たことがある人も多いのではないでしょうか。

尾道でなぜ紅茶?と思いませんでしたか?
なぜ日本茶屋で紅茶かというと、そこにはちょっと尾道らしいエピソードがありました。

尾道紅茶のパッケージ写真
当時の尾道大学の美術科の生徒数名と協力、デザインしたパッケージ

今川玉香園茶舗は現在、5代目当主が切り盛りされている茶屋です。
今から20年ほど前、尾道を大きな地震が襲いました。
その影響で今川玉香園茶舗の歴史ある土蔵が崩壊…。移築のために整理をしていた時に出てきたのが、外国語が書かれた茶びつでした。

不思議に思った現当主は調査を開始、茶びつは70年以上も前にセイロン島(現スリランカ)から輸入されたものであることがわかりました。商人の港として栄えてきた尾道ではその当時から洋食も親しまれ、今川玉香園茶舗でも紅茶が取引されていたことが推測されます。

その後、1941年に太平洋戦争がはじまり、イギリスの植民地であったセイロン島との取引がなくなりました。戦後忘れ去られたままになっていた尾道の紅茶が地震をきっかけに再度日の目を浴び、2005年に現当主の熱意とともに『尾道紅茶』として復活を遂げたのです。

現在今川玉香園茶舗さんがブレンド販売されている『尾道紅茶』は、スリランカ各地の茶葉の旬や雨季と乾季と茶葉の関係など、その時期に合わせたおいしい産地から仕入れた自信作となっています。

インタビューに答える5代目当主
当時の想いを教えてくれた5代目当主

尾道紅茶」の復活と同時に再建された土蔵

地震で崩壊した土蔵は先人の知恵が詰まった天然の保存庫でした。
分厚い土壁が外気との温度差をやわらげ、常にお茶にとって最高の温度湿度を作り上げ熟成させる役割を果たしていたのです。
現在は技術が発達し、土蔵による保管をしている茶屋は珍しくなりました。
しかし、お客さまに「丁寧でごまかしのない本物の味を届けたい」という創業以来のモットーの今川玉香園茶舗さんは、最新技術ではなく、あえて昔ながらの方法で、土を練り直し土蔵を移築、再建したのです。

土蔵の写真
再建された土蔵

土蔵だからこそできる味の旨味と奥深さは今川玉香園茶舗さんでしか味わえないといっても過言ではありません。

この土蔵、5月と10月だけ期間限定で新茶が味わえるカフェとして開放されるので、尾道へ旅行を考える際はぜひ選択肢の一つにしてみてください。
そして入り口前に流れる水路で気持ちよさそうに泳ぐ金魚の姿は尾道の珍百景であり、おもてなしの心が伝わる憎い演出なのでこちらもぜひお忘れなく♪

水路を泳ぐ金魚の写真
涼し気に泳ぐ金魚の姿に癒されます!

低温で淹れた「尾道紅茶」でお茶を愉しむ

紅茶は沸騰した高温で淹れるのが王道です。
でもあえて低温で楽しむという淹れ方を教えてもらいました。

高温で淹れた茶葉は一煎で紅茶を出し切るのに対し、低い温度で淹れた場合は二煎目も楽しめるとのこと。

茶葉を木のスプーンですくう様子
こだわりの茶葉、この時点でいい香り
お茶をコップに注いでいる写真
わくわく

ちょっといい茶葉の場合、ケチって茶葉を少なく淹れたり、王道の高温で淹れたけど二煎目も入れたりして結局台無しにしてしまうこと、ありがちですよね。

お客さまにお出しするときは王道の高温。自分用に淹れるときは2杯楽しめるようにあえて低温で淹れてみるのはいかがでしょうか?

二煎目のお茶は一煎目よりあっさりしていて同じお茶なのに雰囲気が変わる面白さもぜひ味わっていただきたいです。この違いを楽しむ豊かさ。肩ひじ張らずゆるっと飲む紅茶も最高に美味しいですよ。

お茶の入ったコップを上から撮った写真
一煎目も二煎目もそれぞれ違った味わいを楽しめました

ヌワラエリヤ以外にも種類豊富な「尾道紅茶」

今回紹介した今川玉香園茶舗さんの『尾道紅茶』。
ヌワラエリヤをメインに紹介しましたが、発見された茶びつの茶葉に一番近く、渋みの少ないディンブラや独特なフレーバーでミルクティーによく合うウバ、老舗ならではのブレンド技術を駆使した茶師ブレンドティーバッグなどもあるので、ぜひご自身に合いそうな茶葉を選んでみてくださいね♪

店頭に並べられている尾道紅茶
種類が沢山あって迷う…!

あとは、昔の尾道の人が商人あふれる活気ある街の中、美味しい食事に舌鼓を打ちながらこの紅茶を飲んでいたと想いを馳せながら飲んでいただければ『尾道紅茶』は完璧です♪

現在、『尾道紅茶』は今川玉香園茶舗さんの店舗の他、尾道市内のお土産屋さん、道の駅 クロスロードみつぎなどで購入できます。
尾道のお土産として選んでいただきたい逸品です。

お店の紹介

今川玉香園茶舗
住所:〒722-0045 広島県尾道市久保1-6-8
電話・FAX:0848-37-3766
営業時間:9:00~18:00(不定休)

公式サイト