
【檸檬プリン】ムースのような滑らかさ!瀬戸内産レモン使用
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広島県尾道市の南に位置する瀬戸田町生口島(いくちじま)は、国産レモン発祥の地。
しまなみ海道のちょうど半ばに位置するこの島は、瀬戸内ならではの温暖な気候と穏やかな海に恵まれ、国産レモンのトップブランド「瀬戸田レモン」の他にもミカンやせとか、デコポンなど数々の柑橘栽培が盛んです。晴れの日が多く、温かな潮風に包まれるこの島には、柑橘とともに歩んできた人々の暮らしがあります。
そんな瀬戸田を訪れたら、ぜひ立ち寄ってほしい場所が2025年2月にオープンした体験型の柑橘カフェ「尾道柑橘工房SETODA」です。
島の賑わいの中心「しおまち商店街」の入り口にあるこの店は、レモンの島を象徴するイエローカラーに彩られ、観光客からも人気の観光スポット。柑橘を使ったフレッシュジュースやソフトクリーム、焼き菓子などがラインナップされるなか、特にリピーターが多いのが『尾道柑橘工房のレモンケーキ』(※以下、レモンケーキ)です。
手掛けているのは、この店のオーナーであり、フランスでの修行経験も持つパティシエの原山 奈美(はらやま なみ)さん。
無農薬で育てられた瀬戸田レモンの皮や果汁を贅沢に使った、香り高く奥深い味わいの『レモンケーキ』は、「柑橘のことをもっと知ってほしい、好きになってほしい」という原山さんの想いから生まれました。そのおいしさの秘密、お店のコンセプトや島への想いなども併せ、原山さんにじっくりお聞きしました。
尾道柑橘工房SETODAを営む原山さんは、隣の島「因島」で十数年に渡りケーキ店を経営してきた経験を持っています。懸命に打ち込んだ仕事に区切りをつけ、次のステップへ進もうと考えていたときにつながったのが、瀬戸田だったといいます。そこで、柑橘農家と出会い改めて気づいた柑橘の魅力。「農家さんが育てた柑橘から加工品を作りたい」。パティシエの原山さんだからこその発想だったのかもしれません。
「この島では、観光に関わるお仕事の機会もいただいたんです。そのときに感じたのが、観光コンテンツの少なさ。もちろん、有名な美術館やお寺などの観光スポット、景色の素晴らしい海もありますが、この島ならではの特徴をもっとアピールできるコンテンツがあればと思ったんです」
そこで原山さんが思いついたのが、柑橘を使った「体験」。
観光客に、柑橘を見て、触って、香りを感じて、味わってもらう。五感を使った体験を通しておいしさを実感すれば、島の魅力として印象づけることができるはず。その思いが「尾道柑橘工房SETODA」として身を結びます。
お店のコンセプトは「瀬戸田の旅を満喫 柑橘体験カフェ」。ここ瀬戸田で柑橘と出会い、最高の思い出を作ってもらうために、ジュース搾りやパフェ作りなど、柑橘を身近に感じてもらう体験が提供されています。
「最近の若い人たちは、目の前に柑橘があっても皮をむいて食べることが少ないんです。でも実際に自分でカットして、香りを嗅いで、ジュースを絞ってみると、『わあ、こんなにおいしいんだ!』って驚くんですよ」
若い観光客だけでなく、お店には親子連れや外国人なども訪れます。その時々で収穫期を迎える旬の柑橘を使った体験は、島だからこそ実現できること。いつ訪れても違った感動を味わえるのも島ならではです。
さらに、ここでは体験コンテンツに加え、自家製レモネードやソフトクリームなどが楽しめ、今回ご紹介する『レモンケーキ』など、島の柑橘を使ったスイーツなども購入できます。気軽に立ち寄れるのが魅力ですね。
「柑橘のおいしさに触れて、好きになってくれたら嬉しい。その思い出が、この島にまた足を運ぶきっかけになれば、もっと嬉しいです」
原山さんにとっての自身の役割は、パティシエという立場を活かして柑橘の魅力を伝えること。その活動が、農家さんの柑橘栽培を後押しし、さらに、この島を誰かの旅の目的地にも導くのです。原山さんが描く未来は、常に柑橘とともにあるようです。
さて、今回ご紹介する『レモンケーキ』は尾道柑橘工房SETODAが手掛ける人気のスイーツ。
この島で栽培された国産レモンのトップブランド「瀬戸田レモン」をふんだんに使った、香り高く奥深い味わいが楽しめるケーキです。
最大の特徴は、皮、果肉、果汁とレモンを丸ごと使用していること。この穏やかな島の魅力をスイーツを通して体感できます。
そもそも、商品作りのきっかけは、知り合いの農家さんが手掛けたレモンのシロップ漬けのおいしさに衝撃を受けたことだったそう。「このおいしさを多くの人に味わってほしい。それを自分のスキルで実現するには焼き菓子しかない」。そう実感した原山さんは、自らもシロップ漬け作りに取り組みます。
「レモンのスライスとてんさい糖を漬け込み、酵素シロップのように仕上げていきます。そうすると、次第に苦味が和らぎ、皮も実も熟成して全体が甘酸っぱくなっていくんです。それを細かく刻み、ケーキの生地に練り込んでいます」
ケーキに含まれるレモンの割合は、なんと全体の10%以上。レモンを贅沢に使えるのがこの島ならではのメリットです。あえて表面にチョコレートのコーティングを施さなかったのは、レモンが持つ本来の香りや味わいを感じてもらいたかったから。素材が持つ甘酸っぱさが、そのまま爽やかな口当たりにつながっています。
『レモンケーキ』の材料もシンプルそのものです。小麦粉、卵、バターなど、必要なものだけを使う理由は、レモンの素材の良さを引き立てるため。さらに、その作り方はお店のスタッフにもしっかりと引き継がれています。
「私は、レモンケーキ作りのプロを育てたいと思っているんです。この島の人たちがこの島の素材を使っておいしいものを作り続ける。それを実現するためには、私だけの技術ではダメだと思うんです。技術を伝えていくことが、今だけでなく未来の島の豊かさにつながるはずですから」
「ひと口食べれば、虜になること間違いなし!」
かねてから、そう噂を耳にしていた、尾道柑橘工房SETODAの『レモンケーキ』。これまで、なじみマガジン ONOMICHIでも数々のレモンケーキを紹介してきましたが、私が気になっているのはそれらとの「違い」です。レモンの香り?味わい?食感?気になるところです。
では、早速、袋から取り出していただいてみることにしましょう。
まずは香りから。
「わっ!」と思わず声が出てしまうほど、レモンの爽やかな香り。そこにバターの濃厚な香りが相まって、不思議な感覚です。チーズに似た香りのようにも感じます。
そして一口。
「これは!」。衝撃です!これまでに食べたレモンケーキの中でも、もっともレモンそのものを感じるケーキだと断言できます。
しっとりとした口当たりの生地からは、すっきりとした酸味がふわりと立ち上がり、さらに表面に染み込んだ果汁シロップの爽やかさが、レモン感をいっそう引き立てます。細かく刻まれたレモンの皮や果肉の食感、甘酸っぱさ、そしてほんの少しだけ感じる苦味が重なり合い、とても奥行きのある味わいに。
さらに、そこにバターのコクが加わることで、ケーキ全体がとても贅沢な仕上がりになっています。合わせたいのはストレートティー。そのスッキリ感が『レモンケーキ』の豊かな味わいを際立たせます。
酸味のおかげで、甘味が主張し過ぎることなく、そのバランスも絶妙。甘いものがあまり得意でない方にも、間違いなくおすすめできる逸品です。
ちなみに、トースターで4分加熱すると、焼きたてのおいしさを再現できます。ふわっと漂うレモンとバターの香りも一層華やかに。バニラアイスクリームのトッピングもぜひお試しください。
「夏のアイスキャンディー、冬のオランジェットなど、お店に足を運んだ方に瀬戸田の柑橘を味わっていただく機会を増やしていきたいですね。私の得意なことで、この島に貢献していければと思っています」
原山さんの柑橘に対する思い、島を盛り上げていきたいという思いは増すばかりのようです。
現在『尾道柑橘工房のレモンケーキ』は、通販サイト 楽天市場(ふるさと納税)、尾道柑橘工房SETODAの店舗で購入できます。レモン好きの方にはぜひとも味わっていただきたいレモンケーキです。